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総務省は2014年6月、訪日外国人に先進的なICT環境を提供するアクションプラン「SAQ2(サクサク) JAPAN Project」を公表しました。
訪日外国人が「選べて(Selectable)」「使いやすく(Accessible)」「日本の魅力が伝わる高品質な(Quality)」「サクサク」つながるICT利用環境の構築をめざずプロジェクトです。重点的に取り組む事項として次の4点を挙げています。
「無料Wi-Fiの整備促進と利用円滑化」の具体的な取り組みとして、観光情報などを無料Wi-Fiを利用して得られるよう、ICT利用環境の整備に取り組んでいる自治体が増えています。なかでも、注目を集めているのが、「やまなしFreeWi-Fi プロジェクト」です。
このプロジェクトは、山梨県、やまなし観光推進機構、民間企業と共同で、全県的に無料Wi-Fiスポットを整備し、観光客の利便性を向上させようというものです。2012年1月より始まり、2014年2月末現在で県内に1,518ヵ所のWi-Fiスポットが設置されています。
観光客は、観光案内所などで配布されるWi-Fiカードで2週間無料でインターネット接続が可能です。Wi-Fiスポットで閲覧可能なポータルサイト「Tourist Information」では、訪日外国人にニーズの高い「富士山世界遺産構成資産ガイドブック(9ヵ国語)」「指さし会話帳(6ヵ国語)」「公共交通案内」「ハザードマップ」「緊急時、災害時の行動支援情報」といった情報が提供されています。
必要な情報を自身のスマートフォンやタブレットにダウンロードして持ち歩くことができるので、観光の際の利便性が向上します。
さらには、富士山の世界文化遺産登録にともない、富士山に隣接する自治体として、静岡県と協力体制を確立した「Fujisan Free Wi-Fiプロジェクト」も発足するなど、新たな取り組みも進んでいます。
また、『「言葉の壁」をなくす「グローバルコミュニケーション計画」』の一つとして、訪日外国人向けに、多言語音声翻訳システムの翻訳精度を向上させる取り組みが進んでいます。
NICT(独立行政法人 情報通信研究機構)は、空港、ホテル、店、レストランなどで交わされる旅行会話に活用できる音声翻訳アプリ「VoiceTra4U」を公開しています。異なる言語を話す複数ユーザー(5人まで)間の会話や、対面だけでなく遠く離れていてもリアルタイムで会話できる機能を備えています。
成田国際空港のWebサイトでは、会話や空港の施設案内を音声翻訳する携帯アプリ、「NariTra」を公開しています。電話で話すときのように耳に近付けてしゃべる、または画面を見ながら話しかけると、翻訳した結果を画面に表示してくれます。音声入力とテキスト翻訳両方に対応しているのが5ヵ国語、テキスト翻訳のみの対応が3ヵ国語、合計8ヵ国語に対応しています。
これらのサービスで使われている音声認識技術は、外国語の翻訳だけでなく、障がい者向けのコミュニケーション支援システムとしても進化しています。
年々増加する訪日外国人の利便性、満足度を高め、文化交流、相互理解を進めることは、日本の持続的な経済発展にも貢献すると考えられます。
総務省は、「2020 年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えると、必要な施策を可能なものからスピード感を持って実行することが求められる」としていることから、さらなる取り組みの進展が期待されます。
(2014年8月13日)
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