教えて!前田さん
前田
はい。災害発生時には、自治体のWebサイトへのアクセスの集中や通信回線の遮断など、情報発信が困難な状況が発生します。また、「音」による情報発信は聞き逃すリスクや再確認が難しいなどの課題があります。こうした課題の解決方法として、情報伝達の重層化が挙げられており、多くの自治体が手段の一つとしてSNSを活用しています。
このような中で、IT総合戦略本部では、「防災・減災におけるSNS等の民間情報の活用等に関する検討会(以下、検討会)」を開催し、災害対応におけるSNSの活用方法を検討しています。
検討会が発表した資料によると、2014年6月現在、全国1,741自治体のうち防災対策としてSNSを利用しているのは672自治体(38.5%)です。このうちFacebookを利用しているのは472自治体、Twitterは410自治体、LINEは21自治体。複数のSNSを組み合わせて利用している自治体もあり、TwitterとFacebookの組み合わせ利用は204自治体に上っています。
前田
はい。例えば、大きな災害が発生していない地域で災害情報発信のために大きな予算を確保し続けることは厳しいでしょう。しかし、住民が普段から利用しているような一般的なSNSを活用すれば、新たなシステム構築費用やアプリケーションなどの維持管理費用は不要となり、少ない費用で情報発信ができます。また、人員不足や職員の作業負荷の懸念も、SNSは登録制のメールマガジンなどと違い、個人情報管理などの作業がなく、職員の負担を軽減できると考えられます。
なお、東京都三鷹市では防災情報を発信する媒体として、防災行政無線やWebサイトなどの他にTwitterを活用し、緊急地震速報や国民保護情報、特別警報、震度5弱以上の震度情報、避難関連情報、災害予防情報(注意発起)などの情報を発信しています。
三鷹市は、東日本大震災の発生直後から防災行政無線や市の公式Webサイトにて情報提供を開始しましたが、Webサイトへのアクセスが急増し、アクセス障害が発生しました。そこで、3月14日にはTwitterによる情報発信を開始したという経緯があります。三鷹市のTwitterは開始から1時間半で約500人が登録したそうです。災害など緊急情報の市民への発信は、原則として防災行政無線を活用しますが、Twitterはそれを補完する媒体の一つとして今も活用されています。
よくわかりました。ありがとうございます、前田さん!
(2014年9月24日)
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