教えて!前田さん
前田
はい。過去に建設された公共施設などの社会インフラがこれから大量に更新時期を迎える一方で、自治体の財政は非常に厳しい状況にあります。そこで、公共施設全体を把握し、長期的な視点で統廃合・長寿命化を計画的に行うといった総合的な管理による老朽化対策が求められています。
このような中、中央自動車道の笹子トンネルの天井板落下事故の発生もあり、国土交通省の指示によりトンネルなどの緊急点検・集中点検が行われました。
また、政府の新たな成長戦略「日本再興戦略−JAPAN is BACK−」では、テーマの一つとして、「安全・便利で経済的な次世代インフラの構築」が挙げられ、その中で「IT等を活用したインフラ点検・診断システムの構築」や「国としてのインフラ長寿命化基本計画(基本方針)を取りまとめる」、「基本計画に基づき、国、自治体レベルの全分野にわたるインフラ長寿命化計画(行動計画)を策定する」ことなどが宣言されました。
省庁横断で行っているインフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議は、この宣言をうけて「インフラ長寿命化基本計画」を策定しました。めざすべき姿として「安全で強靭なインフラの構築」、「インフラマネジメントによるコストの圧縮や予算の平準化」、「メンテナンス産業を活性化し国際的なインフラビジネスの競争力強化」の三つを挙げ、それぞれに目標値を設定しています。
めざすべき姿の実現に向けて、社会インフラの多くを保有している自治体の役割は非常に重要です。総務省では、自治体の財政や人口減少の状況を踏まえ、各自治体が保有する社会インフラの更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うための「公共施設等総合管理計画」の策定を各自治体に求めるとともに、計画の策定に必要となる経費の特別交付税措置や、自治体の担当者に向けた説明会やヒアリングなどの支援を実施しています。
前田
はい。各自治体が保有する公共施設などの全体状況を把握し、現在および将来の見通しを分析し、これを踏まえた公共施設などの更新・統廃合・長寿命化といった基本方針を定める計画です。これにより自治体の財政負担を軽減・平準化し、公共施設などの最適な配置をめざすものです。遅くとも2016年度までに全都道府県、政令都市、全市区町村において策定する必要があります。
「公共施設等総合管理計画」の主な記載項目は、下記の通りです。
小規模の自治体ではなかなか体制が確立できないなどの課題も見受けられますが、「公共施設等総合管理計画」の策定を支援するため、更新費用試算ソフトや先進自治体の策定事例なども公開されていますので、下記を参考にしてみてください。
よくわかりました。ありがとうございます、前田さん!
(2015年3月25日)
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