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「生涯活躍のまち」構想

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「日本版CCRC構想有識者会議」は2015年12月、「生涯活躍のまち」構想の最終報告と具体化プロセスに関する手引きを公表しました。

「生涯活躍のまち」構想とは

「生涯活躍のまち」構想(以下、本構想)は、日本版CCRCとも言われています。
CCRCは、Continuing Care Retirement Communityの略で、アメリカなどで普及している、継続的ケア付き高齢者コミュニティのことです。これをもとに日本の実情にあわせたのが、本構想です。最終報告では、『東京圏をはじめとする地域の高齢者が、希望に応じ地方や「まちなか」に移り住み、地域住民と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができるような地域づくり』をめざすと定義されています。本構想の背景には、地方の人口減少や、東京圏の高齢化問題などがあり、これらの課題を解決しようというねらいがあります。

本構想は、これまでの高齢者住宅や施設とは考え方が異なり、以下の7点を基本コンセプトとしています。

  1. 東京圏をはじめ地域の高齢者の希望に応じた地方や「まちなか」への移住の支援
  2. 「健康でアクティブな生活」の実現
  3. 地域社会(多世代)との協働
  4. 「継続的なケア」の確保
  5. IT活用などによる効率的なサービス提供
  6. 居住者の参画・情報公開等による透明性の高い事業運営
  7. 構想の実現に向けた多様な支援
従来の高齢者施設等との基本的な違い
  従来の高齢者施設など 「生涯生活のまち」構想
居住の契機 主として要介護状態になってから選択 健康時から選択
高齢者の生活 高齢者はサービスの受け手 仕事・社会活動・生涯学習などに積極的に参加(支え手としての役割)
地域との関係 住宅内で完結し、地域との交流が少ない 地域に溶け込んで、多世代と共働

さらに、手引きでは、入居者の安心・安全を確保することを共通必須項目に、地域の特性や強みを生かすことを選択項目として、「入居者」、「立地・居住環境」、「サービスの提供」、「事業運営」それぞれの観点から、具体像が提示されています。

「生涯活躍のまち」構想の具体像
  入居者の安心・安全を確保する=「共通必須項目」 地域の特性や強みを活かす=「選択項目」
入居者
  1. 入居希望の意思確認⇒構想の基本理念を理解し、入居意思が明確な者とすることが必要。意思確認のための丁寧なプロセス(事前相談・意見聴取、お試し居住など)を用意
  2. 入居者の健康状態⇒健康な段階からの入居が基本。要介護者も排除しない
  3. 入居者の年齢⇒早めの住み替えや、入居する地域での活躍を念頭に、50代以上を中心とした幅広い年齢構成とすることが望ましい
  1. 入居者の住み替え形態⇒「広域移住型」⇔「近隣転居型」
  2. 入居者の所得など⇒一般的な退職者を基本としつつ、富裕層も想定
  3. 入居者の属性⇒Uターン・趣味嗜好などの「個人のニーズ」や、地域の求める専門知識・技術などの「地域のニーズ」に着目し、地域の実情に応じて募集。その際、入居者の属性に応じた支援が重要
立地
・居住環境
  1. 地域社会(多世代)交流・協働⇒高齢者が地域社会に溶け込み、多世代と交流・協働できる環境を整備
  2. 自立した生活ができる居住空間⇒共同生活と個人生活のバランスに配慮し、安心して自立した生活が送れる居住環境を提供
  3. 生活全般のコーディネート(運営推進機能)⇒「地域交流拠点」を整備し、入居者の生活全般を支えるコーディネーターを配置
  1. どこに立地するか⇒「まちなか型」⇔「田園地域型」
  2. 地域的広がりをどうするか⇒「タウン型」⇔「エリア型」
  3. 地域資源をどう活用するか⇒既存施設や空き家の活用、団地再生など多様なケースが想定される
  4. 「地域包括ケア」との連携⇒既存の福祉拠点の活用や介護保険制度の「生活支援コーディネーター」との兼任などにより高齢者が社会参加しながらサービス利用できる地域づくりが可能
サ│ビスの提供
  1. 移住希望者への支援⇒マッチングやお試し居住などの支援
  2. 「健康でアクティブな生活」を支援するプログラムの提供⇒個人のスキル活用やポテンシャル開拓の視点を踏まえた「目標志向型」の「生涯活躍プラン」の策定・「支援プログラム」の実施
  3. 「継続的なケア」の提供⇒人生の最終段階まで尊厳ある生活が送れる体制を地域の医療機関などと連携して確保
  1. 住み替えサービス⇒高齢者の現在の持ち家などを若年層などに売ったり貸したりできるような支援
  2. 就労・社会参加支援サービスなど⇒地域の特性や個人のニーズに応じ、就労・社会参加・生涯学習など多様なプログラム
事業運営
  1. 入居者の事業への参画
  2. 事業運営やケア関係者情報の公開
  1. 多様な事業主体の参画
  2. 事業主体に応じた経営面の工夫や初期費用・維持費用の抑制
  3. コミュニティの人口構成維持

自治体に期待される役割

本構想を実現するには、国、自治体、事業主体(運営推進法人)の連携が重要で、役割分担と連携イメージは下記の通りです。

▼国、地方公共団体、事業主体の役割分担と連携(イメージ)
[イメージ]国、地方公共団体、事業主体の役割分担と連携

最終報告では、自治体に期待する役割として次の4点を挙げています。

  1. 「生涯活躍のまち基本計画(仮称)」の策定
  2. 事業主体(運営推進法人)の選定
  3. 「生涯活躍のまち事業計画(仮称)」の策定
  4. 運営推進法人に対する指導・監督・支援

以上のように、地域のさまざまな関係者が特性や実績を活かして創意あふれる取り組みができるような支援を実施するなど、自治体には主体的な対応と後押しの役割が期待されています。

国の支援

国も本構想の推進について「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015改訂版)」に盛り込み、実現に向けた自治体の取り組みが一層円滑に進められるよう、「情報支援」「人的支援」「政策支援」の側面から支援を行います。

今後の予定としては、2015年度中に「生涯活躍のまち支援チーム(仮称)」が設置され、対象とする自治体を選定後、既存制度上の課題やボトルネック、関係施策が連携した支援策の在り方などについて検討し、本構想に関する事業の具体化に向けた取り組みの普及・横展開を図ります。そして、2020年までには、必要な法制を含めた制度化を行うとしています。

▼生涯活躍のまち支援チーム(仮称)のイメージ
[イメージ]生涯活躍のまち支援チーム(仮称)

参考になる取り組み

すでに、本構想の具体化を推進している自治体も多く、手引きにも事例として紹介されています。2015年7月に「産業」「大学」「金融機関」など、幅広い分野の委員で構成される「南魚沼版CCRC推進協議会」を立ち上げ、勢力的にCCRCを推進している新潟県南魚沼市の取り組みのほか、11事例が紹介されています。

手引きに掲載されている事例以外にも「地方創生特区」を活用し、地域の病院を中心とした医療連携・健康づくり推進をコンセプトとした「佐久市生涯活躍のまち構想(案)」を策定した長野県佐久市や、姉妹都市によるCCRCを協議中の東京都豊島区と埼玉県秩父市など、実にさまざまな取り組みが推進されています。2015年11月1日時点で、本構想に関して推進意向のある自治体は263団体となっており、このうち、220団体が、地方版総合戦略に盛り込み済み、もしくは盛り込み予定です。
また、「生涯活躍のまち」構想の実現に関連して「地方創生先行型交付金」を活用している団体は37となっています。

(2016年2月24日)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が乗じている可能性があります。

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