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地方創生・地域活性化に向け、各地域でさまざまな取り組みが実施されています。総務省「ICT街づくり推進会議」では、これまでにICTを活用した実証事業を実施し、地域の課題解決への対応と成果の横展開を推進しています。
課題を抱えているのは地方・地域に限ったことではありません。都市も複雑な課題を抱えています。今後は地域の課題解決と同様に、都市の課題についても取り組んでいく必要があります。今回は「ICT街づくり推進会議」で新たに提言されている新しい街づくりモデル「データ利活用型スマートシティ」についてご紹介します。

都市が抱える課題

現在日本は65歳以上の高齢者が人口の25%を超え、平均寿命は延び、出生数は右肩下がりという状況で、少子高齢化、人口減が進んでいます。
その傾向は特に地方で顕著に現れていました。若者が地方から都市へ出て行く流れがあるためです。
都市は、そういった地方からの人の流入によりこれまで人口が増えてきましたが、そのピークはすでに過ぎており、今後は都市においても人口減に対応していく必要があります。
人口減が進む自治体では公共サービスが維持できなくなるケースもあり、自治体運営のスリム化なども求められています。
そのような状況においても、都市機能や経済活動を維持し、新たな活力を発揮していくためには、都市全体を効率化させ一人あたりの生産性と生活の質(QoL:Quality of Life)を高めていくことが重要になります。

データ利活用型スマートシティとは

そこで、新たな街づくりモデルとして検討されているのが「データ利活用型スマートシティ」です。
データ利活用型スマートシティとは、データの利活用を通じて都市が抱える複数の課題を分野横断的に解決することをめざすものです。2016年11月にはICT街づくり推進会議の下に「スマートシティ検討ワーキンググループ(以下、WG)」が設置され、「データ利活用型スマートシティ」に必要な要件などが検討されています。

WGの資料によると、「データ利活用型スマートシティ」とは以下のような街づくりになります。

  • 自治体がハブとなり、
  • 交通・観光・医療・健康などさまざまな分野におけるビッグデータを収集。
  • 自治体が、オープンデータとしての提供や官民で分析結果等を活用するための基盤を構築し、
  • データの利活用を推進することで、市民サービスの向上を図る。

従来のハード重視(インフラ整備)の街づくりではなく、ソフト重視(データの利活用)の街づくりであるため、PDCAを回すことで、短いサイクルでのバージョンアップが可能であり、都市の持続性・発展性を高めることができるとしています。

コペンハーゲンの街づくりに見るデータの利活用

世界でも有数のスマートシティとして知られるデンマークの首都コペンハーゲンでは、上記のような取り組みがすでに始まっており、自治体が主体となりさまざまな機関や民間事業者と連携しながらデータ活用やインフラ整備を行っています。
交通・エネルギー・環境・教育・通信・廃棄物・下水処理といった分野の課題に取り組みながら、さまざまなデータを活用することで都市全体の効率性を向上させ、持続可能で快適な街づくりをめざしています。

例えば、交通分野では、街灯などに設置されたWi-Fiやセンサーを通じて、車や自転車などの移動をリアルタイムに追跡し、信号機など設備使用の最適化や、輸送・移動時間の短縮、CO2排出量の削減などを図る試みを始めています。

各分野のデータは、一つのプラットフォームに統合され、収集、統合、共有を一元化しています。
プラットフォーム上には、公共機関や民間企業などが無償または有償で相互にデータ提供可能なデータ取引市場「City Data Exchange」も用意されています。データの利活用がしやすい環境を作ることで、アプリ開発や新たなサービス創出などが期待されています。

データ利活用型スマートシティで自治体が期待されていること

国内の動向に話を戻すと、WGでは「第一次取りまとめ」にて、「データ利活用型スマートシティ」の基本構想を「構築・運用面」と「技術面」に分けて整理し、必要性を示しています。

[イメージ]データ利活用型スマートシティの基本構想
出典:「ICT街づくり推進会議 スマートシティ検討WG 第一次取りまとめ」(総務省)

「データ利活用型スマートシティ」を構築・運用するためには、産学官が一体となって推進していくことが重要となります。
特に自治体は、ルール整備、組織の立ち上げ、ファイナンスなどの面で中心的な役割を果たすことが期待されています。具体的には下記が挙げられています。

  • データ利活用を前提とした街づくりの方針、総合的な計画策定
  • 庁内の基本計画・ルール策定
  • データ利活用型のエリアマネジメント組織の活用方針の明示(民間の予見性を高める観点)
  • エリアマネジメント条例の制定(データ利活用の位置づけ、価値向上に貢献する企業に対する特例等)
  • 地元に貢献するICT人材の育成、企業等への還元。外部人材の積極的な登用、エリアマネジメント組織の立ち上げ
  • ファイナンス面での工夫(ソーシャル・インパクト・ボンド(*)の活用等)
  • 特区制度などの活用を通じたデータの目的外使用、公的施設の柔軟な利用によるスマートシティの実現
  • 業務への横断的なデータ利活用による効率化(戦略分野への投資)
*
社会的課題の解決に向けた取り組みに投資を行うことで、金融機関が債権を発行する。

今後の展開

今後1、2年の計画としては、自治体が主導する先導的な「データ利活用型スマートシティ」を全国数カ所で構築し、成果を検証する予定で、今後公募により候補地が選定されます。2017年度はICTスマートシティ整備推進事業予算として5.1億円が予定されており、自治体などにおける初期投資・継続的な体制整備などにかかる経費(機器購入、システム構築および体制整備に向けた協議会開催などに係る費用)の一部を総務省が補助するとしています。

参考

(2017年3月7日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が乗じている可能性があります。

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