2017年2月、IT総合戦略本部より「電子行政の方針についての考え方(以下、新方針)」が公表されました。
新方針では、これまでのコスト削減や行政内部の効率化を中心とした取り組みの一定の成果を認めて、今後は民×官の協業で行政のあり方を変革していく方向で、国民や事業者に提供するサービスそのものの価値の拡大に焦点を当てています。そして、データの持つ付加価値とデジタル技術を徹底活用したデジタル・ガバメントの実現が軸となっています。
日本が今後、少子高齢化や人口減少といった課題を抱えながらも持続的な経済成長を実現するためには、生産性の向上が必須です。また、海外との取り引きや外国人居住者の増加など、グローバルな視点も必要になってきます。行政サービスにおいても、利用者やニーズが多様化する中で、変化が求められます。
利用者視点でサービスの価値を最大化させるためには、デジタル技術を徹底活用し、官民協働を軸に行政機関の縦割りや、国と地方、官と民という枠を越えて行政サービスを見直す変革が必要です。また、これまでの電子行政からさらにデータとデジタル技術を徹底活用したものにするために、サービス提供の基盤となるプラットフォーム、下支えとなるガバナンス、電子行政に関するすべてのレイヤーに変革していくこと、すなわちデジタル・ガバメントへの移行が必要であるとしています。
例えば、引越しの際に発生する手続きは、自治体の転出転入、水道、ガス、電気、住所変更などなど、さまざまな機関の複数の窓口で個別に手続きをする必要がありますが、組織の枠を越えてサービスを見直すことで、サービスのデジタルファースト(*1)、ワンストップ、ワンスオンリー(*2)が実現していくと考えられています。
デジタル・ガバメントの実現に向けた取り組みとしては、次の三つを柱とし、変革を進めていく方針です。
3月にIT総合戦略本部より公表された「行政手続・民間取引IT化に向けたアクションプラン(「デジタルファースト・アクションプラン(仮称)」)中間整理」によると、自治体における手続きについては、実態の全体像が十分に把握されていないことから、2017年度中を目途に実態調査とオンライン利用促進に向けた方策を検討するとしています。
一部の先行自治体(都道府県、市町村)より、法令に基づく手続き、自治体独自の手続きの全体像とそれらに係るオンライン化の状況について事例調査を行ったり、全数調査により、特に件数が多いと思われる手続きを中心に実態調査を行ったりすることが想定されています。
上記実態を踏まえ、優先的にオンライン化に取り組むべき手続きとその方向などについて、自治体の規模や特性を踏まえつつ、2017年度中を目途に検討されます。検討結果を踏まえて、各都道府県では、「都道府県官民データ活用推進計画」などに、行政手続きのオンライン利用促進に向けた計画を取り込むことが期待されます。
方針策定に当たっては、各省と協議を進めつつ、アイディアボックスやワークショップを通じて、国民とも対話しながら検討されました。5〜6月にIT国家創造宣言に新方針の内容が盛り込まれ、アクションプランに落とし込まれていきます。
スケジュール
(2017年4月11日 公開)
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