前田
はい。少子高齢化などさまざまな課題に対応するため、国、自治体、独立行政法人、民間事業者などが管理するデータを活用することが必要で、データを活用した新ビジネスの創出や、データに基づく行政、医療介護、教育などの効率化が期待されています。このような期待を受け「官民データ活用推進基本法」が2016年12月14日に施行されました。基本的施策をいくつか紹介します。
このように法律名は「官民データ活用推進基本法」ですが、「オープンデータ」を法律として位置付けただけでなく、行政手続きの原則オンライン化やマイナンバーカードの普及・活用、さらには、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングス)を法律ではじめて定義するなど、幅広い内容となっています。「オープンデータ」に関しては、国や自治体が保有する「官民データ」について個人の権利利益、国の安全などが害されないようにしつつ、インターネットなどを通じて容易に利用できる措置を講ずるとしています。
前田
はい。都道府県では官民データ活用推進計画の策定が義務化されました。この計画は地域の状況に応じた官民データの活用推進に向けた基本的な方針、施策を定めるものです。上記の基本的施策で「国の施策と自治体の施策との整合性を確保する」ことが挙げられているように、都道府県は国の計画に則して計画を策定する必要があります。
市町村は都道府県が策定する計画を勘案し、市町村官民データ活用推進計画を作成することが努力義務として求められます。なお、国からは自治体の取り組みへの支援として、官民データ活用推進計画策定のガイドラインや雛形が提供されます。
また、さまざまなデータの活用環境が整備されると、データを活用できる人材の育成も必要となります。その政策が効果的かどうか、政策の優先順位はどうか、といったエビデンスに基づいた政策の立案・遂行が期待されます。さらに、行政手続きのオンライン化によって、従来の業務の見直しや、必要に応じ法令の改正も生じるかもしれません。このように、官民データ活用推進基本法によって、効果的な政策の立案や効率的な行政事務が可能となります。
よくわかりました。ありがとうございます、前田さん!
(2017年4月25日 公開)
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