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2020年3月31日に、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン(以下、標準ガイドライン)」が改定されました。
これは、行政のサービス・業務改革にともなう政府情報システムの整備および管理について、その手順や各組織の役割などを定める体系的な政府共通ルールを示したものです。標準ガイドラインは「デジタル・ガバメント実行計画」の決定を受けて策定されました。「デジタル・ガバメント実行計画」では、「情報システム等を個別に整備することは非効率であることから、今後は、地方公共団体における情報システム等の共同利用を推進していくべきである」とあるように、自治体にも関係する内容となります。今回の改定ポイントと自治体における活用方法について、ご紹介します。

標準ガイドライン群

政府は、内閣官房が中心となって、デジタル・ガバメント実行計画で示されたルールやガイドラインなどを含め、標準ガイドライン群(標準ガイドラインに関連する指針類などの文書体系)を整理しています。
標準ガイドライン群は以下のように多くの文書が体系化されており、今回の改定は、標準ガイドライン本編、本編を説明する「解説書」、各プロジェクトで得たノウハウを記した「実践ガイドブック」の3点が対象です。

[イメージ]デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン群体系図
出典:デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインの改定について(内閣官房IT総合戦略室)

政府重点プロジェクトについての項目が追加

標準ガイドラインでは、ルールや手順について、情報システムを作ること自体ではなく、情報システムを作ることによって、利用者が実感できる効果を達成することに重点が置かれています。今回の改定では、新たに政府重点プロジェクトについての項目が、ルールに追加されました。その定義や一元的プロジェクト管理として実行することなどが明示され、必要な検証について以下3段階で実施することが記載されました。

  1. 予算要求前(プロジェクトの計画段階)
    クラウドサービスの利用の可否などプロジェクトの基本的な方向性や関連サービスとの連携、重複投資の可能性などについて検証を行う。
  2. 予算要求時(プロジェクトの具体化段階)
    予算編成に向けた費用対効果などの検証を行う。
  3. 予算執行前(詳細仕様の検討段階)
    費用の妥当性や仕様の適正性、業務改革(BPR)などについて検証を行う。
    なお、上記検証は、補正予算で情報システムの整備などが実施される場合も含む。

ITマネジメントで困ったら「実践ガイドブック」を活用しよう

参考文書という位置付けですが、「実践ガイドブック」には、有用なノウハウや教訓が詰まっています。
標準ガイドラインで示されたITマネジメントにおいて、実際に作るべきドキュメントや、失敗から得た知見などが、工程ごとにまとめられているので、自分が困っている事柄にあわせて、必要な部分だけ拾い読みするという辞書的な使い方ができます。

工程 別紙(様式のひな形など)
第1章実践ガイドブックの構成 WBS、開発イベントマップ
第2章プロジェクトの管理プロジェクト計画書、プロジェクト実施要領、政府CIOによるレビューでの説明前提事項
第3章予算要求特になし
第4章サービス・業務企画現状分析結果報告書、業務要件定義書
第5章要件定義機能要件定義書、非機能要件定義書
第6章調達調達仕様書
第7章設計・開発設計・開発実施計画書、設計・開発実施要領、受入テスト計画書
第8章サービス・業務の運営と改善特になし
第9章運用及び保守運用計画書、運用実施要領、運用報告書、保守計画書、保守実施要領
第10章システム監査監査実施計画書、監査報告書

参考:実践ガイドブック(内閣官房)をもとに表作成

たとえば、「標準ガイドラインに定めた作業の全体像を理解したい」ということであれば、第1章の別紙にWBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)が用意されています。
また、「新しいプロジェクトの担当になったので計画書を作成したい」ということであれば、まず第2章の別紙として用意されているプロジェクト計画書に記入し、わからない部分について、第2章を参考にするという使い方もできます。

さらに、「新サービス企画時」「予算要求前」「調達実施前」「設計・開発時」「サービス実施時」といったフェーズごとのチェックリストも用意されているので、こちらを使って順番にチェック項目を消化し、抜けがないか確認するという活用方法もあります。

[イメージ]予算要求前のチェックリスト
出典:実践ガイドブック(内閣官房)

情報システムを構築する上で、業務プロセスや情報システムの標準化は重要です。現在は、総務省を中心に、住民記録業務における標準化について議論が行われていますし、「デジタル・ガバメント実行計画」では、標準化を進める対象業務を地方税や社会保障の分野に広げることが明示されています。標準ガイドラインを活用して効率的に業務プロセスや情報システムの標準化を進めていきたいですね。

参考

(2020年6月22日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。

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