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執筆:森重 福一(株式会社 日立システムズ 公共・社会事業企画本部 公共事業企画部)

2020年9月に総務省が「住民記録システム等標準仕様書(第1.0版)」を取りまとめ、公表しています。政府は自治体業務標準化の法制化と目標時期をあらかじめ設定した工程表を提示することより、自治体が対応の準備を始められる環境作りを行おうとしています。これを受けて、自治体においては業務の標準化に向け、現行業務との差分を把握するなど、早期のアプローチが重要になってきます。

「2040年問題」、自治体の解決策は?

2040年を過ぎると高齢者の人口はピークとなり、1995年では8,726万人だった生産年齢人口が、2040年には6,000万人になる予想です。これらの現象は自治体の予算や業務などをさらに圧迫します。さらに、現状、非正規社員の数と割合は年々増え続けており、今や約3人に一人となっています。このことも、今後の自治体の経営に大きく影響を及ぼす問題です。

これらの解決策を見出すために、総務省は自治体戦略2040構想研究会を設置して、2018年7月に「自治体戦略2040構想研究会 第二次報告」を出し、「スマート自治体」の実現をめざしています。

そこで、自治体においては、総務省が公表している「住民記録システム等標準仕様書(第1.0版)」を活用し、標準仕様に基づくパッケージソフトを導入することで、今までは手間が掛かっていた機能要件の確定や調達仕様書(RPA)による調達、事業決定後のFIT&GAP分析といった自治体の調達プロセスが大幅に削減されることが期待できるため、自治体クラウドをより推進しやすくなると考えられます。また、標準仕様を活用した調達を行うことにより、カスタマイズを大幅に減らすことで、維持管理コストの削減が可能です。

自治体の業務システムの統一・標準化のスケジュールと加速策

2019年8月、総務省は自治体システム等標準化検討会で自治体の業務システムの統一・標準化について検討を開始し、2020年9月に住民記録システム等標準化検討会が「住民記録システム等標準仕様書(第1.0版)」を取りまとめ、公表しています。また、2020年6月には税務システム等標準化検討会が設置されました。

自治体における標準準拠システムへの移行までの工程は、「1.標準仕様作成(関係府省)」、「2.標準システム開発(事業者)」、「3.標準準拠システム移行(自治体)」の3段階に分かれており、自治体はシステムの更新時期なども踏まえつつ、移行期間内に標準システムに移行する流れとなっています。対象業務ごとにスケジュールが整理されており、先述したように、住民記録システムの標準仕様書が取りまとめられたところです。標準仕様の最終確定は2022年度夏を目途としており、2022年度から順次自治体システムの標準化を開始し、大規模自治体などの特例を除き、原則として2025年度までに移行完了をめざしています。詳細は、下記の図をご参照ください。

[イメージ]自治体における標準準拠システムへの移行までの工程
出典:マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(第3回)
  総務省説明資料(自治体業務システム統一・標準化加速策)(IT総合戦略本部)

現在、政府はこのプロセスを法制化するとともに、目標時期を設定する*ことで、自治体業務の標準化を加速化しようとしています。具体的には、政令で定める基幹系情報システムについて、政府が標準化のための基準を告示し、自治体に移行期間内に適合することを義務付けます。そして支援策として移行費用の財政支援やシステム変更の前倒しにともなう追加経費なども想定されます。

*
12月末にとりまとめられる新たな工程表においてあらかじめ設定された目標時期までに、自治体が対応準備を始められる環境作りをすることを指します。

自治体には早期のアプローチが求められます

最後に、自治体業務の標準化の課題と対策について私なりに整理します。

  • 標準仕様では、今までのようにFIT&GAP分析をしなくてもよいと言われていますが、ベンダーごとに標準仕様に対する準拠度は違うはずです。標準仕様ができても、ベンダーごとにそれをパッケージソフトに搭載するレベルが違うと考えられますので、第三者機関で標準仕様への準拠度を評価する仕組みが欲しいところですね。また、標準仕様完成後の環境を維持、管理する仕組みの構築が必要です。
  • 業務の標準化に準拠した各社のパッケージソフトが競うとすれば、ユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンスの部分であり、これは実際に職員の方に体験していただく必要があります。また、業務の標準化に準拠したパッケージソフトと現行パッケージソフトとの差分を補完することが業務改善で実施できるか、という点が導入を検討する際のポイントとなります。
  • 標準仕様への切り替えと同時に共同利用である自治体クラウドに切り替えるためには、早期の自治体クラウドグループ作りや、協議会の立ち上げなどを検討する必要があります。
  • 今回の「住民記録システム等標準仕様書(第1.0版)」の公表は、標準仕様に基づいたパッケージソフトを導入するよい機会になると思います。パッケージソフトの導入検討とあわせて、パッケージソフト以外の運用も含めて全面的に業務改善するよいタイミングでしょう。業務の抜本的な見直しのための現状分析にも早期にアプローチすることをお勧めします。

これらの動きを含めて、2020年12月には政府から正式な工程表が発表され、来年の通常国会の法案の内容が見えてきます。自治体の皆さまには早めの準備をお勧めします。

執筆者プロフィール

[画像]森重 福一

森重 福一
(株式会社 日立システムズ 公共・社会事業企画本部 公共事業企画部)
日立システムズに入社し前半は中央官庁のSEとして大規模プロジェクトを経験し、後半は、自治体のパッケージ開発部門で電子自治体や地域情報プラットフォーム対応に携わる。その後は、国や自治体関連のコンサル業務をメインに活動中。コンサルとしては、自治体クラウドやマイナンバー対応に携わり、個別案件の提案、講演会、勉強会、ユーザー会などを精力的に取り組み最新情報の共有、発信に努めています。

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