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東日本大震災では、自治体で保管していた戸籍の正本が津波で流され、ニュースなどでも報道されました。現在、正本を各自治体が、副本を地域の自治体を管轄する法務局が保管しています。正本が滅失した場合、法務局に保管されている副本を元に戸籍を再製することになっており、東日本大震災では4市町が副本からの再製を行いました。
東日本大震災のような、またそれ以上の大規模かつ広域災害が発生した場合、副本を滅失しないとも限りません。正本、副本の両方を滅失してしまうと、戸籍の再製は非常に困難になります。また、2012年度からは年に2回、副本データを法務局に送付していますが、その間に戸籍の変更があった場合は、自治体や法務局で保存している届書や申請書などから補完する必要があります。そのため、それらの書類も滅失した場合には正確な戸籍を再製できないという事態が発生します。
こうした状況を防ぐため、法務省では戸籍副本データ管理システムの導入を2013年9月稼働予定で進めています。戸籍副本データ管理システムの運用が開始されると、副本は自治体から遠隔地となる全国2か所の副本データ管理センター(以下、センター)で保存されることになります。また、データ更新のタイミングも業務日ごととなります。なお、対象はすべての戸籍電算化自治体であり、未電算自治体の運用はこれまで通りです。
戸籍電算化自治体における副本にかかわる事務は以下のように変更になります。
現在 | 導入後 | |
頻度 | 年に2回 | 業務日ごと |
副本の送付先および送付方法 | 管轄法務局に磁気テープなどの媒体で送付 | センターにLGWANを介して送付(初回は全データ、以降は差分データのみ) |
データ形式 | 自治体独自形式 | 法務省により定義され、全自治体共通データ形式となる予定 |
▼戸籍副本データ管理システムの概要を図解しました。
法務省ではシステム導入の目的として以下の4点を挙げています。
今後、各自治体では戸籍副本データ管理システムへの対応準備が必要になってきます。本メールマガジンでも、自治体での作業内容についてお伝えしていく予定です。
(2012年10月10日)
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