はい。本研究会では、災害時も自治体の重要業務を継続し、地域住民に対する適切かつ迅速なサービス提供を実現するための検討が行われました。構成員は、学識者や被災自治体の職員、民間ベンダーなど、さまざまな立場の人で構成されており、日立製作所からは、私も構成員として参画していました。
報告書は3部構成で、1章では東日本大震災の教訓を整理し、2章ではICT-BCP(ICT部門の業務継続計画)の改訂・強化と普及策の検討を、3章ではICT利活用に向けた提言と情報セキュリティのあり方について纏めています。
研究会では、まず最初に、自治体のICT-BCP策定率が低いこと、そして、それは策定のためのハードルの高さが一因であることなどが議論されました。
そこで、そのハードルを下げる工夫として、初動(震災後72時間以内)に焦点を絞ったICT-BCPの策定方法や解決策のサンプル、導入版ガイドなども公開しています。「簡単」とはいきませんが、ハードルはずいぶん下がったのではないかと思います。ぜひ、「ICT-BCPの策定・改訂・強化」に着手いただければと思います。
さらに、報告書では「災害に強い自治体」の実現策として、SNSの活用、自治体クラウド導入など「最近のICTならではの施策」や、民間などとの連携・協力が大切という考え方も提示しています。
はい。報告書では、「被災自治体が行政の責任ですべての情報流通を管理する」という考え方ではなく、「必要に応じ、民間などの情報収集・発信能力を活用することが、被災住民へのサービス向上につながる」という考え方を提示しています。
具体的には、車両に搭載されたカーナビから収集した通行実績情報を「通れた道マップ」として自動車メーカーが公開した事例などを紹介しています。
自治体の方にも興味深い内容だと思います。
また、民間との連携を検討するには、まず、どの企業が、どのようなサービスを行っているかを知ることが大切ですね。本研究はICT-BCPに特化したものですが、民間との連携事例としてはICT分野だけでなく、災害時の備蓄物提供の協定なども進んでいます。
(2013年5月22日)
配信を希望される方へ
自治体ICTに関する旬な記事を月2回メールマガジンでお届けします。登録は無料です。