はい。「地域経済分析システム(以下、RESAS)」は、企業間取引や人の流れ、人口動態などに関する客観的・中立的なデータを、グラフや地図を用いてわかりやすく表示するシステムです。各自治体はRESASから提供されるさまざまなデータを元に地域の現状と課題を把握することができるため、政策を検討する際や、地域活性化と人口減少克服に向けた地方版総合戦略の策定の際に活用することができます。なお、RESASは内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)および経済産業省によって2015年4月から公開されています。
RESASを利用するにはGoogle ChromeのWebブラウザーが必要です。そのため自治体によっては、新たにPCへインストールする必要がありますので、ご注意ください。
RESASは「産業マップ」「人口マップ」「観光マップ」「自治体比較マップ」で構成されています。以下、その概要をご紹介します。
地域の産業構造や企業間取引の実態、どの産業が雇用を多く生み出しているかなどが把握できるものです。これにより自治体は強化すべき産業の把握や、地域経済への貢献度が高い企業への支援策とその効果の分析に役立てることができます。
地域人口の推移、人口流出入の動向を市区町村単位、男女別・年齢別に把握できます。これにより地域内における将来の人口構成をより正確に予測することができ、自治体はインフラ整備、医療福祉政策、教育政策などの検討や、現実的かつ効果的な人口減少対策・過疎化対策の立案が可能になります。
携帯電話の位置情報などを利用して、人の移動を「見える化」したものです。
任意の場所、時間帯、期間などを設定して人の動向を把握できるので、効果的な観光戦略への活用が期待できます。
市町村単位でさまざまな指数に基づき比較できるものです。例えば、企業数、創業比率、有効求人倍率、一人当たりの地方税などを把握でき、他の自治体と比べ、自らの自治体の強み・弱みや、ランキング機能を使ってどのくらいの順位にあるのかを知ることで、今後強化すべき分野はどこなのか把握することができます。
はい。今までは専門家でないと難しいデータ分析でしたが、RESASを活用すればさまざまな視点によるデータ分析結果を簡単に見ることができます。
例えば、RESASを活用してご自身の自治体の状況を把握し、さらに近隣自治体との関係性をさまざまな視点で見てみると良いでしょう。すると、経済や観光に関して実は強い結びつきがあったなど、今まで知らなかったことが見えてくるかも知れません。このようにRESASを活用して、まずは、ご自身の自治体をいろいろな視点で見ることが重要だと思います。
なお、政府は「地方創生コンシェルジュ」を設置し、自治体の地域課題についての相談を受け付けています。また、産業・観光・人口などの主要分野に関する有識者を自治体の要求に応じて派遣し、データ分析・政策立案に向けたワークショップなどを開催するとしています。また、政府はRESASを活用した政策立案の事例などを各自治体から募集し、2015年8月末にRESAS上に開設する自治体職員向けSNSサイトで、共有化する予定です。
このような機会を有効活用し、RESASを利用した政策の検討・立案を検討してみてはいかがでしょうか。
(2015年7月22日)
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