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2017年12月に、これまでの施策のKPIを検証した結果や、今後取り組む内容などを反映した「まち・ひと・しごと創生総合戦略2017改訂版」が、閣議決定されました。この中で、地方創生に資する大学改革を推進することが明示されており、安倍総理からも「キラリと光る地方大学づくりを推進していく」との発言がなされています。キラリと光る地方大学づくりを中心に、地方創生に資する大学改革についてご紹介します。
「まち・ひと・しごと創生総合戦略2017改訂版」では、KPIの検証で基本目標の「地方への新しいひとの流れをつくる」に係る施策の効果が現時点では十分に発現していないという評価がなされました。これを受け、ライフステージに応じた政策メニューの充実・強化を図ろうとしていることが明示されています。
特に、東京圏への人口移動のほとんどが大学進学や就職時の若年層であるということから下記取り組みが必要と考えられています。
中でも注目したいのが、キラリと光る地方大学づくりです。地域の産業振興、専門人材育成などの取り組みを推進し、地域の生産性の向上、若者の定着を促進するとともに、日本全国や世界中から学生が集まるような地方大学づくりを推進することで、東京圏の転出入均衡をめざすというものです。
地方創生推進交付金や税制で重点的に支援していくことも明示されており、2018年2月6日には、予算関係法案である「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案」が閣議決定されています。
これまでの地方大学振興策として代表的なのが、2013年度から文部科学省において実施されている「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)(*)」です。この取り組みは、地方大学に求められる役割の変化にともない、2015年度から「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」へと発展しています。
これは、これまで大学が担ってきた、地域社会における知的・文化的拠点としての役割だけでなく、自治体や地元企業などと連携し「地方への新しいひとの流れをつくる」「地方にしごとをつくる」といった地方創生の取り組みの実施が期待されるようになったことを反映しています。
地方創生にかかわるステークホルダーには、地域を担う人材育成に取り組む大学だけでなく、地域活性化政策を担う自治体、人材を受け入れる地域の企業、地域活性化を目的に活動するNPOや民間団体などさまざまな立場の機関が存在しています。
「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」は、COC推進コーディネーターの活用などにより、大学がそのほかのステークホルダーと協働して地方創生を推進・拡大する取り組みを支援するものです。「まち・ひと・しごと創生総合戦略2017改訂版」のアクションプランの中でも、引き続き推進していくことが盛り込まれています。
地方創生を軸にして、各地域では自治体・企業・大学との連携事例が数多くあります。
地域の特色や課題がさまざまであるように、具体的な施策や連携体制は多種多様です。
「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の最終報告によると、今後、地方大学の振興にあたり、産官学連携を推進していく上で自治体には下記が求められるとしています。
なお、これらは、先述の「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案」の主旨でもあり、今後成功事例が提示されていくと思われます。
地方でその地域と深くかかわりながら学ぶことは、地域の人たちとの関係性の醸成や、地域に対する愛着度の上昇につながる効果が期待されるでしょう。さらに、日本各地から学生が集まるような地方大学づくりによって、若年層にその地域の魅力を発見して発信してもらえると、その地域へのひとの流れが大きくなると思います。
地方大学と、それを取り巻く環境も、より魅力的になることで、地方創生を実現できるのではないでしょうか。
(2018年3月12日 公開)
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