ページの本文へ

Hitachi
お問い合わせお問い合わせ

[イメージ]IoT時代の国土強靱化

IoT時代の国土強靱化

読んでナットク!自治体ICT

政府がめざす「超スマート社会」の実現において、国土強靱化を高めることは重要なテーマの一つです。
国土強靱化は、危機管理の国家プロジェクトであり、身近なモノがインターネットにつながり、多種多様なデータをやり取りするIoT時代においては、デジタル技術の活用がさまざまな角度から防災・減災対策を実現し、生活基盤の持続可能性とレジリエンス(*)を高めるものと期待されています。

*
復元力・回復力。災害やテロなど想定外の事態で社会システムなどの機能が停止しても、「全体としての機能を速やかに回復できるしなやかな強靭さ」を表す

国土強靱化とは

国土強靱化とは、自然災害、テロ、インフラ老朽化、エネルギー危機、世界恐慌など、国家の存亡に直結する数々の危機を乗り越えるためのレジリエンスを確保しようという防災・減災の取り組みです。
2013年12月に「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(平成25年12月11日法律第95号)(以下、基本法)」が交付・施行され、基本法に基づく計画で国の指針となる「国土強靭化基本計画(以下、基本計画)」が2014年6月閣議決定されました。

基本計画は、基本法第10条に基づく計画であり、国の指針となるものです。基本的な考え方や施策分野ごとの推進方針などが示されています。 また、「基本目標」「事前に備えるべき目標」「起きてはならない最悪の事態」が設定されており、この中でも優先順位の高いものを重点化すべき15のプログラムとして、特に推進していくとしています。

[イメージ]重点化すべきプログラムに係る起きてはならない最悪の事態

  • 出典:国土強靱化基本計画(内閣官房)をもとに加工

さらに、基本計画を着実に推進するためのアクションプランも毎年度取りまとめられており、プログラムの進捗管理や、毎年度の施策の検討に活用されています。各施策については、PDCAサイクルを繰り返し見直しながら、強靱化を推進しています。

地域活性化と連携した国土強靱化

政府が計画に基づいて施策を進める中、地方でも、国土強靱化地域計画(以下、地域計画)の策定が進んでいます。国土強靱化と地方創生は、地域の豊かさを維持・向上させるという点で同じものであると考えられており、二つの相乗効果を高めるため、地域計画と地方創生の地方版総合戦略が、調和しながら策定されることが効果的だという主旨が、2015年7月7日付事務連絡にて各都道府県および市町村に案内されました。

地域計画の策定については、政府から自治体向けのガイドラインが提供されており、この中で策定用ツールおよび関係府省庁の交付金・補助金の活用事例や、策定済み団体の実例などが紹介されています。
2018年3月1日現在、全都道府県において地域計画が策定済みまたは策定中となっており、市町村においては、計画策定中が48、計画策定中が69となっています。
他にも、市町村において地域計画の策定が円滑に促進されるよう、政府が出前講座の実施など、市町村に焦点を当てた積極的な支援を行っているところです。

また、産学官連携で、国土強靱化に関する情報交換・交流を拡大していくため、自主的な活動の創造や、すでに活動しているコミュニティのコラボレーションや触発を促す「対話型ワークショップ」を2016年9月より開催しています。

自治体のオープンデータの活用

基本計画の中では、特に配慮すべき事項の一つとして、データベース化、オープンデータ化の推進についての記載がなされています。

国土強靱化の取組は、リスクコミュニケーションから、社会インフラの維持管理や各分野の研究開発等に至るまで、官民の広範な分野にまたがるものであり、これらの取組をデータに基づき効率的に進めるためには、国、地方、民間等の様々な主体が有する情報を集約化し、これらの様々な主体が情報にアクセスできるようにすることが不可欠となる。このため、国と地方、官と民が適切に連携・役割分担しつつ、地形・地質等の基盤情報をはじめ各主体が有する様々な情報の共有・データベース化を推進するとともに、このための統一的なプラットフォームの整備を図る。また、これらの情報のオープンデータ化を推進する。

  • 出典:国土強靱化基本計画(内閣官房)

加えて、インフラ・防災・減災等分野でのデータ連携のためのプラットフォーム整備に関する施策として下記が示されています。

  • 地理空間情報(G空間情報)の流通基盤の整備等
  • 国・地方公共団体・事業者等における災害情報の共有の推進
  • 準天頂衛星システムを活用した避難所等における防災機能の強化

つまり、官民連携での取り組みを推進するための共通プラットフォームを整備して、地理空間情報(G空間情報)や災害情報などを共有・活用することで効果的に国土強靭化を進めていこうというわけです。

自治体においては、「官民データ活用推進基本法(平成28年12月公布・施行)」により、オープンデータの取り組みが都道府県に義務付けられています(市町村は努力義務)。オープンデータパッケージが提供されたり、自治体向け研修が実施されたりするなど、政府による支援も進んでいます。

防災や減災に自治体のオープンデータを活用する事例は数多くあります。たとえば、避難所の位置情報のデータとスマートフォンの現在地情報を利用して、近隣の避難所を地図画面上に表示するアプリなどがそうです。政府CIOポータルで公開されている「オープンデータ100」の中にいくつか掲載されています。

今後のスケジュール

国土強靱化に関する今後のスケジュールとしては、「国土強靱化アクションプラン2017」からのプログラムの進捗状況などを踏まえて、2018年5月下旬頃を目途に「国土強靱化アクションプラン2018」が策定されます。これにより、毎年度のPDCAサイクルを実践・徹底します。さらに、政府はこのアクションプランの内容を、5年目を迎える国土強靱化基本計画の見直しにも反映させていく予定です。

参考

(2018年5月14日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。

テーマ別まとめ

注目キーワードに関連した記事をまとめました。

何をお探しですか?

配信を希望される方へ

自治体ICTに関する事務局おすすめの記事をメールマガジンでお届けします。登録は無料です。

ご登録はこちらから