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[イメージ]5Gを活用した地域課題の解決モデル

5Gを活用した地域課題の解決モデル

読んでナットク!自治体ICT

総務省は、2018年1月に「ICTインフラ地域展開戦略検討会(以下、検討会)」を設置し、5G(第5世代移動通信システム)・光ファイバーなどICT利活用による地域課題の解決モデルや、今後の地域における5G・光ファイバーなどICTインフラの整備のあり方を検討してきました。5Gをとりまく現状や、検討会において取りまとめられた地域課題の解決モデル(ICTインフラ地域展開政策パッケージ)をご紹介し、「5Gで世の中がどう変わるか」、「求められる自治体の役割」についてお届けしたいと思います。

5Gをとりまく現状

総務省ではこれまで、「ICT街づくり推進会議」による取り組みや、「地域IoT実装推進ロードマップ」といったICTの社会実装により、それぞれの地域が有する社会課題を解決するためのモデル作りや成功モデルの普及展開を支援しています。

4Gまでは、LTEやADSLなどを含む、既存のICTインフラを前提に構築されてきましたが、近年のICTインフラの高度化や、AIやマイナンバーカードといった情報通信技術を取り巻く環境などの発展はめざましく、既存のICTインフラでは、速度や安定性などの面で大容量通信やリアルタイム伝送が困難になるおそれが出てきました。

「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」という特徴がある5Gは、次世代のICTインフラとして期待されています。今後5Gを含む高度なICTインフラの整備により、自治体が、企業などと連携したサービスを5G上で展開することで、産業構造の変化を引き起こし、新たな市場を創出したり、社会的課題の解決や地方創生に貢献したりすることが見込まれるからです。このため、5Gの早期実現が期待されており、総務省では2020年の実現をめざしています。

5Gの特徴を生かした地域の社会課題等の解決イメージ

進む高齢化や地域の担い手の減少、観光客の増加、教育機関の減少、公共交通の縮減、医療介護需要の増加、災害の増加など、地域の課題はさまざまです。
検討会では先進自治体である前橋市の視察を行っており、意見交換の中で「5Gの導入が進めば、『交通』『医療』『テレワーク等』『防災・減災』分野で大きな効果が期待できる」という意見を得ました。

そういった意見もふまえ、5Gの特徴を生かした地域の社会課題等の解決イメージを、下図の通り取りまとめています。

[イメージ]5Gの特徴を生かした地域の社会課題等の解決イメージ

たとえば、「交通」分野では、公共交通機関の縮減による買い物弱者の発生といった課題がありますが、「超低遅延」である5Gの導入により、より高度な遠隔運転が可能になるため、自動運転バス・タクシーなどが実現され、高齢者のモビリティが確保できると考えられています。さらに、マイナンバーを使った配車の仕組みやAIを活用した交通路線の最適化なども考えられており、運用コストの低減や効率化についても考慮した検討がなされています。

ICTインフラ地域展開政策パッケージ

5Gで世の中がどう変わるのかのイメージに加えて、地域課題の解決モデルとして、「ICTインフラ地域展開政策パッケージ」も示されています。

ベースとなるのが、「ICT社会実装の拡大・高度化」と「ICTインフラの整備・強化」の二つの柱です。「ICT社会実装の拡大・高度化」では、マイナンバーカード、AIなどのさらなる活用を、「ICTインフラの整備・強化」では、5Gや光ファイバーなどの地域展開をめざすというように、この二つを両輪とした施策を並行して実証します。

5Gや光ファイバーのそれぞれの特性を生かしながら、AIやIoT、ドローンなどの新たなICTとマイナンバーカードの活用を図ることで、住民サービスの向上と地域活性化につなげていくことが望ましく、成功事例を地域課題の解決モデルとして横展開しようというものです。

具体的には、2020年までに、公共交通の自動運転や、センサーを活用した災害予知などの課題解決モデル実証を全国10か所以上で実施し、その成果を全国に展開する予定です。

[イメージ]ICTインフラ地域展開政策パッケージ

国・自治体・民間の協働のあり方

「ICTインフラ地域展開政策パッケージ」の実現には、国・自治体・民間事業者が、それぞれの立場からICTインフラ整備などを加速化していくことと、三者の連携が重要です。

[イメージ]ICTインフラ地域展開に向けた国・自治体・民間事業者の役割

自治体の役割としては、「地域特性を考慮したICTインフラの整備計画の策定」「地域の課題解決に係る首長のリーダーシップと推進力の発揮」「住民が参加しやすい行政を実現」「地域協議会等のマッチングの場の設定」など、旗振り役となることが求められています。

自治体においては、自治体内外の組織構造や財政措置などの課題要因が存在し、ICTインフラ整備が遅れてしまうケースもあります。こうした背景も踏まえて、「ICTインフラ地域展開政策パッケージ」を実現するためには、自治体首長の強力なリーダーシップの下、多様なステークホルダーを巻き込みながらこれらの課題を乗り越えることが必要となります。

参考

(2018年9月10日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。

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