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Q.観光庁内に「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」が設置されました。その背景を教えてください

はい。DMO(Destination Marketing/Management Organization)とは、観光地経営の視点に立って観光戦略の策定・推進や、地域内の幅広い関係者との合意形成など、観光事業のマネジメントを担う機能・組織のことを示します。
政府が「日本版DMO」として、自治体と連携して観光地域づくりを担う法人の登録を開始して3年が経ちました。2018年12月現在で、計102件が登録されています。

外国人旅行者の増加を受け、観光を日本の成長や地方創生の柱とするため、観光庁では「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定しています。あわせて、訪日外国人旅行者数を2020年までに4,000万人にし、世界水準のDMOを全国で100件形成するなどの目標を定めています。

世界水準のDMOとは、世界の人から選ばれ、訪れてもらう観光地域になるために、必要な戦略を機能面、組織面で達成していることをさします。これの形成を促進するため、2018年11月に観光庁が設置したのが「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」です。全国各地のDMOなどの実態を踏まえ、論点整理などを経て、2019年3月までに中間取り纏めが行われる予定です。

Q.現時点で見えてきた課題や論点などはありますか?

はい。現在検討会では、取り組みの現状について全国のDMOへ調査を行っています。
日本版DMOでは、それぞれがKPIを設定しています。その中でも、「延べ宿泊者数」「旅行消費額」「来訪者満足度」「リピーター率」のKPI設定はDMO登録時に必須で、その達成状況は次の通りです。

[イメージ]KPIの達成状況について
出典:前回検討会でのご指摘事項(観光庁)

「延べ宿泊者数」「来訪者満足度」については達成率が100%を越えるDMOが半数を超えています。
しかし、「旅行消費額」「リピーター率」についてはまだ半数に至っていません。

ほかにも、観光振興計画の有無や地域との役割分担、独自施策、活動周知のための取り組みや財源確保の考え方まで、幅広くヒアリングが行われています。その中で、「組織のマネジメント」や「人材と財源」面においての課題が見えてきています。特に行政と地域との役割分担については整理が必要とされています。検討会の内容が公表されていますので、その中からいくつかご紹介します。

◆組織のマネジメント

  • 訪日客の多いASEAN諸国の平均年齢は20代のため、若者を意識した観光地経営が必要。
  • 世界水準のDMO検討において、日本政府観光局(JNTO)との連携は欠かせない。例えばJNTOの海外事務所からの情報発信は、訪日の動員力があり、有効活用が期待される。

◆人材と財源

  • DMOの最大の課題は人材と財源。
  • DMOに特定財源を制度的に保証していくことも検討が必要。地域で作った計画に基づき、その財源を活用できる枠組みが求められる。
  • DMOでは、即戦力の確保や教育が課題。あわせて、適正価格を設定する能力や、地域経済を循環させるデザイン力のある人材も求められる。

出典:第1回「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」議事要旨(観光庁)をもとに作成

今後公表される取り纏め結果にも注目ですね。

参考

(2019年1月28日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。

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