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2019年7月22日から9月6日まで実施されたテレワーク・デイズに今年も多くの人々が参加するなど、テレワークが身近なものになってきました。近年、このテレワークを活用した新しい働き方である「ワーケーション」が注目されています。ワーケーションは、地方創生にも寄与すると考えられており、自治体による取り組みが増えています。
ワーケーションとは、「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語です。
休暇を取りながら働くという、2000年頃にアメリカで生まれたワークスタイルと言われています。
具体的には、リゾート地などで休暇を取りながら、一部の時間をテレワークなどを活用し、リモートワークを行います。休暇の取得促進はもちろん、普段と違う環境で仕事をすることでリフレッシュでき、業務効率化につながるといった効果も期待されています。
この新たなワークスタイルは、自治体においても近年、注目が高まっています。
自治体において「ワーケーション」が注目されるようになった背景に、テレワーク事業の発展があります。
これまで、総務省における「ふるさとテレワーク」、「お試しサテライトオフィス」、「まちごとテレワーク」といった取り組みが、自治体職員のテレワーク環境整備の補助、サテライトオフィスの開設・誘致の支援、推進計画の策定などを後押しする調査の実施など、自治体のテレワーク推進に一役買ってきました。
これらの取り組みは、都市部から地方への人や仕事の流れを創出し、地方創生の実現に貢献することを目的としています。
たとえば、まちごとテレワークで実施された調査では、テレワークの活用方法について類型化を行っていますが、その中の一つにワーケーションによる関係人口の創出で地域の活性化につなげることを目的とするパターンが明示されています。
つまり、中長期的な滞在が可能となるワーケーションは、魅力的な文化資源や地域資源を通して、その地域の良さを体感してもらえる機会が創出できると言えます。加えて都会と地域の人材・企業が交流することで、都会の技術や人脈が地域に還元される点もメリットと考えられ、テレワーク事業の発展と、関係人口の拡大をめざして、ワーケーションに取り組む自治体が増えています。
出典:平成30年度まちごとテレワーク調査事業 報告書(総務省)
このように、テレワーク事業の発展と地方創生の観点から注目を集めるワーケーション。
豊かな自然や観光資源などに加えて、良好な情報通信環境を有する自治体において、積極的に企業のワーケーション誘致に取り組む事例や、体験型プログラムなどを通じて実際にテレワークを利用しながら、その地域ならではの体験や観光を楽しんでもらう、というような事例が見られるようになってきました。
先進自治体である和歌山県と長野県は、「ワーケーションの活動をさらに展開していくには関係自治体が主体的に連携して活動していくべき」という考えで一致し、日本テレワーク協会と協力して、2019年7月18日に「ワーケーション全国フォーラム」を開催しました。このフォーラムでは、ワーケーションの解説、自治体の取り組みや、導入企業の事例などを共有し、和歌山県、長野県の両知事が、ワーケーション推進に関する全国的な自治体間連合「ワーケーション全国自治体協議会」(通称:ワーケーション・アライアンス・ジャパン(WAJ))の設立に向けた協力確認宣言の署名を行いました。賛同自治体は2019年8月3日時点で38自治体となっています。
ワーケーションは、企業にとっては生産性や企業価値の向上や、社員のワークライフバランスの向上が期待でき、自治体にとっては経済効果と、都市と地方の人的交流が図れるというメリットがあります。働き方改革が推進される今、企業と自治体双方にとってメリットが見込めるワーケーションは、新しい働き方として期待されています。
(2019年9月9日 公開)
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