教えて!自治体ICT
はい。人口減少、地域経済の縮小という日本が抱える大きな課題に対する施策として、2014年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と、第1期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定されました。これらは、「東京圏への一極集中の是正」「若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現」「地域の特性に即した地域課題の解決」という三つの基本的視点のもと、地方創生がめざす方向や、5年間(2015年度〜2019年度)で取り組む政策の基本目標が示されたものです。2019年度は戦略策定から5年目となるため、これまでの評価や次期戦略となる第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の方向性などが検討されてきました。
第1期の評価としては、「しごとの創生に関しては一定の成果が見られるものの、東京圏への転入は2014年以降一貫して超過し続けているためさらなる取り組みが必要」となっています。この評価を受けて、第2期では第1期の指針を引き継ぐ一方で、政策体系を見直しています。具体的には、第1期から取り組んでいる4個の基本目標に加え、新規に2個の横断的な目標に取り組んでいきます。
「横断的な目標1 多様な人材の活躍を推進する」では、都市住民の地方での副業・兼業の促進、移住・定着の支援、関係人口の創出・拡大に向けた取り組みの推進など、多様な人材が活躍できる環境づくりを積極的に進めます。あわせて、活気あふれる地域をつくるため、若者、高齢者、女性、障がい者、外国人など、誰もが居場所と役割を持ち活躍できる地域社会をめざします。
「横断的な目標2 新しい時代の流れを力にする」では、Society 5.0の実現に向けた技術(未来技術)と持続可能な開発目標(SDGs)にポイントを置いています。未来技術は、住民の生活の利便性と満足度を高める上で有効であり、地域の魅力を一層向上する手助けとなります。SDGsは、その理念に沿って取り組みを進めることで、政策の全体最適化や地域課題解決の加速化という相乗効果が期待でき、地方創生の取り組みの一層の充実・深化につながるとしています。
はい。第2期で新規に追加された横断的目標に対する施策の全体像は、次のようになっています。
具体的には、次のような個別施策が検討されています。
数ある個別施策のうち、1個ピックアップして紹介しますと、横1-1「(2)地方公共団体等における多様な人材の確保」では、地域の人材の育成・活用事例を横展開したり、自治体にIT分野における民間の専門人材を派遣する仕組みを構築・推進したりする取り組みなどを検討しています。自治体へのIT分野の専門人材の派遣については、ワンストップ窓口を設置して、民間企業などの派遣意向と市町村の人材ニーズを把握した上で、情報を提供する予定とのことです。
さらに、横2-1「(2)未来技術の活用による地域課題の解決、地域の魅力向上」では、未来技術を活用した地方創生の取り組みの普及・展開に向け、最新の技術動向や選定事業などを横展開します。そして、その取り組みの中でも、「1. さまざまな課題を乗り越えている」「2. 未来技術を活用した新たな社会システムづくりにチャレンジしている」「3. 全国的なモデルとなり得る」といった条件を満たしている取り組みについては、地方創生推進交付金による新たな支援を行うことを検討しています。また、横2-2「(1)地方創生SDGsの実現などの持続可能なまちづくり」では、世界の共通語であるSDGsを使って、地方創生に向けた日本のSDGsモデルを国内外に発信することが検討されています。具体的には、国際的なフォーラムの開催や国際会議などの機会で紹介したり、自治体およびその他のステークホルダーへの地方創生SDGsに対する普及のために先行事例をまとめたり、日本のSDGsモデルを発信するため動画を作成しWebサイトで公開したりすることを検討しています。
最新技術を活用しながら、内外問わず地域にかかわる人々がいきいきと主体的に行動していくことが、地域の課題解決・活性化・魅力向上の実現につながる重要なポイントになってきました。今後、政府から展開されるさまざまな取り組みの事例も参考になりそうですね。
(2020年2月25日 公開)
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