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新型コロナウィルス感染症の拡大で、社会全体のデジタル化が加速する流れになっています。
ニューノーマル時代への備えが求められる中、2020年7月に「骨太方針2020」や「成長戦略実行計画」が閣議決定されました。政府は、今後1年間を社会全体のデジタル化の集中期間と位置付け、マイナンバー制度の抜本改善や自治体のシステム標準化に取り組むとしています。
「骨太方針2020」では、デジタル・ガバメントの構築を最優先政策課題と位置付けており、デジタル化への集中投資・実装とその環境整備の取り組みを加速するとしています。
出典:経済財政運営と改革の基本方針2020〜危機の克服、そして新しい未来へ〜(案)(首相官邸)
また、今回の感染症対応において、マイナンバーシステムをはじめ行政の情報システムが、利用者視点(国民が安心して簡単に利用できる)で十分に構築されていなかったことや、国・自治体を通じて情報システムや業務プロセスがバラバラで、地域・組織間で横断的にデータも十分に活用できないといった課題が明らかになったことについて触れ、以下の観点で、利用者視点のデジタル化・オンライン化を前提とした政策システムへの転換を進めるとしています。
さらに、マイナンバー制度の抜本的改善については、具体的な施策が示されており、行政手続きに関しては「オンラインで完結させることを大原則として、国民にとって使い勝手の良いものに作り変えるため、抜本的な対策を講ずる」ことが明記されています。
2020年7月に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(IT新戦略)」では、基本的な考え方として「国民が安全で安心して暮らせ、豊かさを実感できる強靭なデジタル社会の実現」を掲げ、データ利活用とデジタル・ガバメントがポイントとなるような全体像を描いています。その中でマイナンバーはデジタル強靭化社会の基盤と位置付けられています。
出典:IT新戦略の概要〜デジタル強靱化社会の実現に向けて〜(内閣官房IT総合戦略室)
出典:IT新戦略の概要〜デジタル強靱化社会の実現に向けて〜(内閣官房IT総合戦略室)
では、マイナンバー制度の抜本的な改善に向け、何が検討されているのでしょうか?
マイナンバー・マイナンバーカードの活用促進や政府のネットワーク環境の再構築については、「デジタル・ガバメント閣僚会議」において議論されているところです。このデジタル・ガバメント閣僚会議の下に、2020年6月に新たにワーキンググループ「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキング・グループ」が設置されました。
新型コロナウィルス感染症対策の経験をふまえて、緊急時の迅速・確実な給付の実現に向けて、以下の課題について、検討しています。
出典:ワーキンググループ検討課題(内閣官房IT総合戦略室)
2020年6月30日に開催された第2回会合では、上記検討課題について33項目がとりまとめられました。特に自治体に関連する「4. 国と地方を通じたデジタル基盤の構築」では以下のとおり整理されています。
出典:マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善に向けて−課題の整理−(内閣官房IT総合戦略室)
自治体業務システムの標準化や、マイナンバーカードの活用なども明示されていますね。これまでも推進されてきた取り組みですが、今まで以上に取り組みが加速されることが伺えます。
今後は、検討を経て、年内に新たな工程表を策定する予定です。
以上、政府の新たな方針やIT戦略をご紹介しました。ニューノーマルを見据え、今までにないスピードでデジタル・ガバメントを推進していくことが強調された内容となっており、その中でマイナンバーは基盤として位置付けられています。政府はできるものから実施していきたいとしているので、引き続き、動向をおさえておく必要があります。
(2020年9月7日 公開)
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