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執筆:森重 福一(株式会社 日立システムズ 公共・社会事業企画本部 公共事業企画部)
マイナンバーカードの交付状況は2021年3月1日時点で33,443,334枚(人口の26.3%に交付済み)となり、旅券保持者数を引き離すところにまで来ています。さらに、2021年2月以降の申請数は増加しており、QRコード付きの申請書を送付した効果も出始めているようです。自治体DX推進計画においても、マイナンバーカードの普及促進は重点取り組み事項となっています。今回は、マイナンバーとマイナンバーカードの利活用を支える仕組みについて改めて確認するとともに、具体的に現在実施している取り組みや、今後の動向などを整理したいと思います。
マイナンバーとマイナンバーカードの利活用を支える仕組み
マイナンバーとマイナンバーカードの利活用を支える仕組みは、大きく3つに分かれます。
- マイナンバー(個人番号)関連の法律
マイナンバー関連の法律改正により、マイナンバーカードの利用範囲拡大を推進しています。
- マイナンバーカード
マイナンバーカードは従来の住基カードとは大きく違い、民間を含めて幅広く利用可能です。特長は以下のとおりです。
- • 券面
- 本人確認書類として使用できる、写真付きの公的な身分証明書です。このことから、対面でもオンラインでも自分を証明できる「最高位の身分証」とも言われています。マイナンバーカードを所持していれば、カード1枚で個人番号の確認と本人確認が可能となります。
- • ICチップの空き領域(カードアプリケーション)
- 自治体は条例で、政府の機関などは政令の定めるところにより、ICチップの空き領域を使用して独自にサービスを提供できます。また、2016年からは、新たに民間事業者も総務大臣への申請、および認可を得ることで、独自にサービスを提供できるようになりました。
- • 電子証明書(署名用電子証明書、利用者証明用電子証明書)
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- ▸ 署名用電子証明書
- 氏名、住所、生年月日、性別の基本4情報が記載され、e-Taxでの確定申告など、電子文書を送信する際に使用します。受信した電子文書が、利用者本人が作成および送信したものであることを証明できます。
- ▸ 利用者証明用電子証明書
- マイナポータルやコンビニ交付の利用時などの際に、基本4情報を提示しなくても利用者本人であることを証明できます。
- マイナポータル
政府が運営するオンラインサービスです。子育てや介護をはじめとする行政手続きの検索や、オンライン申請がワンストップでできたり、行政機関からのお知らせを受け取れたりする、利用者本人専用のサイトです。
詳細は、下記の「マイナンバーとマイナンバーカードの利活用を支える仕組み」を参照してください。
参考:「マイナンバー制度とマイナンバーカード」(総務省)の内容、および図を加工して作成
マイナンバーとマイナンバーカードの利活用についての取り組みと今後の動向
マイナンバーとマイナンバーカードの利活用について、現在実施している取り組みと今後の動向を下記に整理しました。
1.マイナンバー関連の法律
現在実施している取り組み |
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今後の動向 (•:今国会提案) |
- • 戸籍関係情報の情報連携の開始(2023年度)
- • 公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法案
- • 預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案
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2.マイナンバーカード
券面
現在実施している取り組み |
- • 身分証明書(写真付)
- • 旧氏併記(2019年11月〜)
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今後の動向 |
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ICチップの空き領域(カードアプリケーション)
現在実施している取り組み |
- • 国家公務員の身分証明機能
・入退館管理(2016年4月〜)
- • 社員証・職員証
【公共サービスへの活用】
- • 自動交付機用カード
- • 図書館カード
- • 選挙の投票入場券受付
- • 避難所の入退所受付
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今後の動向 |
- • 印鑑登録証明書としての利用
- • 公共サービスへの活用を拡大
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電子証明書(署名用電子証明書、利用者証明用電子証明書)
現在実施している取り組み |
- • コンビニ交付サービス
- • 電子投票(2020年2月に実証実験)
- • マイナンバーカードを活用した消費活性化策(2020年9月〜)
- • 母子健康手帳としての利用
・乳幼児健診情報等(2020年度〜)
【民間サービスへの活用】
- • オンライン契約(住宅ローン、不動産取引など)
- • 金融機関によるインターネットバンキング、インターネットショッピング等
- • マイナンバーカード読み取り可能機種(NFC)の拡大
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今後の動向 (•:今国会提案) |
- • 印鑑登録証明書としての利用
- • 自治体版マイナポイント
・マイナポイントの基盤を活用した個人給付の検討
- • 健康保険証としての利用
・オンライン資格確認
・医療機関などでの特定健診情報の閲覧
・服薬履歴などの閲覧(2021年10月〜)
- • 処方箋・お薬手帳としての利用(2023年度〜)
- • 生活保護受給者の医療扶助の医療券・調剤券としての利用(2023年度〜)
- • 介護保険被保険者証としての利用(2023年度〜)
- • マイナンバーカード・公的個人認証の海外継続利用(2024年度目処)
- • 郵便局における電子証明書の発行・更新等
- • 公的個人認証サービスにおける本人同意に基づく最新の住所情報などの提供
- • 電子証明書のスマートフォンへの搭載
- • 顔認証技術を活用したコンビニでの電子証明書の暗証番号初期化・再設定(ロック解除 2021年秋頃)
- • 国家資格関係事務における個人番号の利用および情報連携の拡大
- • カジノ施設への入場管理・依存症対策での活用(特定複合観光施設区域整備法第70条)
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券面事項入力補助
現在実施している取り組み |
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今後の動向 |
- • 申請書の自動作成範囲拡大
- • 対面での入力作業のさらなる削減
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3.マイナポータル
現在実施している取り組み |
- • 子育てワンストップサービス(2017年7月〜)
- • 介護ワンストップサービス(2019年1月〜)
- • 被災者支援ワンストップサービス(2019年4月〜)
- • 引越しワンストップサービス(2020年度〜)
- • 法人設立全手続のワンストップ化(2020年10月〜)
- • ライフイベントにともなう企業が行う従業員の社会保険・税手続のワンストップ化(2020年度〜)
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今後の動向 (•:今国会提案) |
- • 転出・転入手続に要する時間の短縮化
- • ワンストップサービスのさらなる利便性向上
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今回は、マイナンバーとマイナンバーカードの利活用を支える仕組みや今後の取り組みについてご紹介しました。今後も、マイナンバーカードの普及と、行政と民間も含めたマイナンバー関連コンテンツの充実は両輪で進めていくことが重要だと感じています。また、各自治体におかれましては、改めてマイナンバー関連のロードマップの確認と、マイナンバーカード内独自利用部分の活用方法の検討を進めることも必要かと思います。日立も、皆さまのマイナンバーとマイナンバーカードの利活用をご支援できればと考えています。
執筆者プロフィール
森重 福一
(株式会社 日立システムズ 公共・社会事業企画本部 公共事業企画部)
日立システムズに入社し前半は中央官庁のSEとして大規模プロジェクトを経験し、後半は、自治体のパッケージ開発部門で電子自治体や地域情報プラットフォーム対応に携わる。その後は、国や自治体関連のコンサル業務をメインに活動中。コンサルとしては、自治体クラウドやマイナンバー対応に携わり、個別案件の提案、講演会、勉強会、ユーザー会などを精力的に取り組み最新情報の共有、発信に努めています。
参考
(2021年4月19日 公開)
- * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。