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最近、高齢者がワクチン接種の予約をインターネットでできずに困っているというニュースを目にします。高齢者などデジタル活用に不安のある方が取り残されないための取り組みはありますか?

総務省によって2020年度から推進されているのが、「デジタル活用支援員推進事業」です。デジタル活用支援員とは、住民に身近な場所で高齢者などからICT機器やサービスの利用方法の相談を受けたり、学習支援を行ったりする人のことで、デジタル活用支援員推進事業では、総務省がデジタル活用支援の活動に対する助成を行います(補助率10/10)。

[イメージ]総務省 デジタル活用支援推進事業の概要
出典:デジタル活用支援 〜現状と今後の取組について〜(総務省)

2020年度の実証では、インターネットやスマートフォンの使い方、オンラインでの行政手続きなどの相談会や講習会が全国11か所で実施されました。地域におけるデジタル活用支援員の活動や実施体制が検討され、以下の成果が得られました。

  1. デジタル活用援員の確保のノウハウ
  2. デジタル活用援員への共通の研修プログラム
  3. 共通の教材・動画
  4. 事業運営マニュアルの作成
  5. 周知広報のノウハウ

[イメージ]令和2年度 実証事業
出典:デジタル活用支援 〜現状と今後の取組について〜(総務省)

2021年度は、この取り組みが全国規模で迅速かつ集中的に実施されます。携帯ショップなどを中心に高齢者のデジタル活用を支援する講習会が全国約1,800か所で実施される予定です。

また、2021年度から2025年度までの5年間で、毎年約5,000か所で約30万回の講習会を開催し、延べ1,000万人が参加することを目標としています。携帯ショップがない817市町村へは、近隣の市区町村の携帯ショップなどから講師派遣を行うことによって公民館で講習会を行う手法を検討するなど、高齢者がより身近な場所で参加できるよう、取り組みの拡充を図ります。

[イメージ]デジタル活用支援 令和3年度事業実施計画
出典:デジタル活用支援 令和3年度事業実施計画 等(総務省)

さらに、デジタル活用支援推進事業の計画的かつ効果的な実施が図られるよう有識者や先進自治体から助言を得ることを目的とした、「デジタル活用支援アドバイザリーボード」が開催されています。検討内容は以下となっており、KPIや計画も策定・公表される予定です。

  1. デジタル活用支援の目標(KPIなど)および事業展開計画(方針)の策定
  2. デジタル活用支援推進事業の評価
  3. デジタル活用支援推進事業の改善策

Q.自治体における取り組みについて教えてください

例えば、2020年度のデジタル活用支援員推進事業に参画した宮崎県都城市は、システム会社、専門学校(システム系)、携帯販売店とともに都城デジタル化推進協議会を設立しました。専門学校の学生を支援員として登用して、支援員には接遇や技術面の研修を実施するなど、産学官の連携により持続可能な体制作りを実現しています。

相談会は、20名を定員として3回実施し、講師1名、支援員6名から8名で対応しました。
実施にあたっての工夫や効果などは以下のとおりですが、注目してほしいのは、参加者のマイナンバーカード申請率が100%になったことです。マイナンバーカードの普及策としても効果的ということが伺えますね。

[イメージ]事業実施の当たっての工夫・効果等
出典:デジタル活用支援推進事業の実施準備状況について(都城市提出資料)(総務省)

新型コロナウイルス感染症対策の観点からも、国民の誰もがオンラインによる行政手続きやサービスを利用できるようにすることが求められる状況です。また、「自治体DX推進計画」では、デジタルデバイド対策を自治体DXとあわせて取り組むべきとして明記しています。つまり、行政手続きのオンライン化と利用者のITリテラシーの底上げを図ることは両輪で進めていかないといけないということです。デジタル活用支援の取り組みを、地域の企業や学校などと一体となってやっていけるとよいですね。

参考

(2021年6月7日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。

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