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深刻化する地球温暖化を背景に、世界各国が脱炭素社会に取り組んでいます。
日本においても、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル(*)宣言」が発表されました。
「2050年カーボンニュートラル宣言」は、2050年までに脱炭素社会を実現し、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としています。目標達成のために政府が打ち出した具体策「地域脱炭素ロードマップ」を中心に、地域で脱炭素化に取り組むメリットや脱炭素化の推進に有益な情報をご紹介します。
2021年6月に公表された「地域脱炭素ロードマップ(以下、ロードマップ)」は、これから脱炭素社会へ移行していくためのスケジュールと具体策がまとめられたものです。サブタイトルに「地方からはじまる、次の時代への移行戦略」とあるように、自治体には、地域の脱炭素化に向け主導的な役割を果たすことが期待されていると伺えます。
ロードマップの全体像は下図のとおりです。特に、今後5年間は集中期間として政策を総動員し、政府が人材・技術・情報・資金の面から、地域脱酸素化の取り組みを積極的に支援します。具体策として、脱炭素先行地域を2030年までに少なくとも100か所つくるとしています。これにより、農山漁村、離島、都市部の街区など多様な地域において、地域が抱える社会課題を解決し、住民の暮らしの質の向上を実現しながら脱炭素に向かう取り組みの方向性を示します。最終的には地域の脱炭素モデルを全国に伝搬し、2050年を待たずに脱炭素社会の実現をめざします。
自治体においては、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき、温室効果ガスの排出抑制のための総合的かつ計画的な施策である「地方公共団体実行計画」を策定するものとされています。「事務事業編」と「区域施策編」があり、「事務事業編」については、すべての自治体において策定が義務付けられています。
また、2050年までのカーボンニュートラル実現に向け、すでに464自治体(40都道府県、278市、10特別区、114町、22村)がゼロカーボンシティを表明しています(2021年9月30日時点)。
なお、ロードマップでは、地域で脱炭素に取り組むことにより、以下のメリットがあるとしています。
つまり、地域で脱炭素に取り組むことは、地域が抱える社会課題を解決し、豊かで質の高い暮らしや地域の実現につながるということです。
これから脱炭素化に取り組む自治体におすすめの支援策をいくつかご紹介します。
環境省では、エネルギー対策特別会計(エネ特)を活用して、イノベーションの創出と、経済・社会・環境課題の同時解決を図る補助・委託事業を行っています。
例えば、2021年度の「ゼロカーボンシティ実現に向けた地域の気候変動対策基盤整備事業」は、自治体における脱炭素化のための基礎情報を整備・提供する事業です。自治体の政策立案や再生可能エネルギー導入の円滑な推進に活用できるように「現状把握」、「計画策定」、「合意形成」の各ステップで必要な情報やツールがパッケージ化されています。
出典:ゼロカーボンシティ実現に向けた地域の気候変動対策基盤整備事業(環境省)
人材支援の取り組みもあります。
政府は、2015年から地方創生を人材面から支援するために、市町村への人材派遣を支援する「地方創生人材支援制度」を実施していますが、2022年度から新たに、脱炭素分野に知見を有する「グリーン専門人材」が加わります。人材派遣を希望する市町村は、11月5日までに派遣希望の提出を行うスケジュールとなっています。
出典:グリーン専用人材のイメージ(まち・ひと・しごと創生本部)
脱炭素化の取り組みの対象は、建築物や交通を含むインフラ、各種産業活動や日常の生活などの経済・社会システム全般と、広範囲にわたるので、政府、自治体、事業者、住民などすべての主体が参加・連携して取り組むことが必要です。政府の支援策をうまく活用していけるとよいですね。
(2021年10月11日 公開)
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