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[イメージ]自治体DX推進において改めて考えるEBPM

自治体DX推進において改めて考えるEBPM

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政府は、国民に信頼される行政を展開するため、EBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)を推進しています。
政府全体でEBPMを推進する体制として、2017年より「EBPM推進委員会」が開催されていますが、デジタル庁が発足して組織構成が変更となり、2021年11月に初回の会合が開催されました。改めて自治体DX推進におけるEBPMについて考えてみたいと思います。

EBPMの考え方と取り組み状況

EBPMは、「EBPM課題検討ワーキンググループ取りまとめ」によると、「政策の企画立案をその場限りのエピソードに頼るのではなく、(1)政策目的を明確化させ、(2)その目的達成のため、本当に効果が上がる政策手段は何かなど、政策手段と目的の論理的なつながりを明確にし、(3)このつながりの裏付けとなるようなデータなどのエビデンス(根拠)を可能な限り求め、「政策の基本的な枠組み」を明確にする取り組み」とされています。

[イメージ]EBPM課題検討ワーキンググループ取りまとめ(概要)
出典:「各府省におけるEBPMの取組状況」 EBPM推進委員会(第1回)資料2(デジタル庁)

政府は「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」をめざしています。根拠と効果の可視化を実現するEBPMの考え方は、政策が本当に効果をもたらしているかどうかを、客観的な根拠に基づいて検証と改善を続けていくことにつながり、心豊かな暮らしや社会の持続可能性を実現するうえで欠かせません。

EBPM推進委員会発足後の2017年から、各府省において、経済・財政再計画の点検・評価、政策評価、行政事業レビューの取り組みを通じたEBPMの実践が進められています。2021年度の取り組み方針は以下のとおり、ロジックモデルの作成・活用を中心としたものになっています。また、今後公表される予定の「EBPMの実践に資するガイドブック(仮称)」は、対象読者が各府省の政策担当者となっていますが、自治体職員にも参考になる内容だと思われます。

[イメージ]令和3年度におけるEBPMの取組(ポイント)
出典:「各府省におけるEBPMの取組状況」 EBPM推進委員会(第1回)資料2(デジタル庁)

なぜ、ロジックモデルがEBPM推進に寄与するのか?

各府省において、ロジックモデルの作成・活用を中心とした取り組みが進んでいることは前述のとおりですが、ロジックモデルの作成・活用がEBPM推進にどう寄与するのかについて触れたいと思います。

ロジックモデルとは、「インプット(資源の投入)」、「アクティビティ(行政活動)」、「アウトプット(活動から産み出された物)」、「アウトカム(政策の影響や成果)」の間における論理的関係を簡潔に表現する説明図です(下図参照)。
アウトカムを導き出すために、政策効果の把握や分析を行いますが、この時に公的統計データ、業務データ、アンケート調査などをエビデンスとした統計的手法などが活用されます。つまり、ロジックモデルを作成すること自体が、政策手段と目的の論理的なつながりの裏付け(=EBPM)とも言えます。

[イメージ]持続可能な社会基盤の確保
出典:「次なる時代を切り拓く活力ある地域社会の実現(総務省重点施策2022)−重点施策集−」
 17 EBPMの推進及び基盤となる統計の整備(総務省)

実際に、ロジックモデルを用いて情報を整理すると、「可視化が図られる」、「測定指標を設定した根拠が示せる」などのメリットがあります。このため、各府省では、政策評価においてロジックモデルの作成が重要視され、「政策効果の把握・分析手法の実証的共同研究」が進められています。

特に行政の施策は関係者が多く複雑な構造をしていることが多いので、施策の構造をロジックモデルで表現することにより、分かりやすく整理することができ、政策効果を把握する上でどの部分に焦点を当てるかの検討にも有用だとされています。

政府の取りまとめでは、ロジックモデルの役割は以下のように整理され、特に新規事業やモデル事業・実証事業、見直し時期の到来など節目のある施策や事業などで作成するとよいとされています。

  • 組織内での政策形成・ブラッシュアップ
  • 対外的なコミュニケーション
  • モニタリング・効果検証に向けた事前の検討

[イメージ](別紙)ロジックモデルの役割、エビデンス活用の考え方
出典:「各府省におけるEBPMの取組状況」 EBPM推進委員会(第1回)資料2(デジタル庁)

自治体DXの推進におけるEBPMの重要性

「自治体DX推進計画」の中でも、EBPMの実践により行政の効率化・高度化を図ることが記載されており、自治体におけるEBPMの浸透・定着が期待されています。

[イメージ]自治体DX推進計画の意義・目的
出典:「自治体DX推進計画について」(総務省)

では、今後自治体においては、EBPMをどのように進めていけばよいのでしょうか? そこでおすすめしたいのが、総務省統計局 統計データ利活用センターが運営するWebサイト「Data StaRt」です。以下のような悩みを持つ自治体を支援する情報が取りまとめられています。

  • 自治体が抱えている、現状や政策課題をすばやく的確に把握したい
  • 有効な対応策をえらび、その効果を科学的に検証したい
  • でも、どのように取り組みを進めればいいか、分からない

「EBPM活用塾」というコンテンツは、有識者・研究者による動画解説のレクチャー編、初心者向けの演習などが用意されたゼミナール編、基本用語を解説したキーワード編で構成され、EBPMに取り組むポイントがまとめられています。
もちろん、取り組みの実例も閲覧できます。先進自治体にヒアリングし、実例ごとに手法やポイントがまとめられているので、他の自治体がどのような行政課題について、どのような手法によりエビデンスを収集し政策立案に至ったのかを知ることができます。
このように、自治体のEBPM推進に役立つ内容となっていますので、ぜひご活用ください。

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参考

(2022年2月7日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。

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