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近年、各地で大規模災害が相次いでいます。自治体は、大規模災害が発生した場合に、自治体業務を継続するだけでなく、災害応急対策や災害からの復旧・復興対策の主体として重要な役割を担わなければなりません。災害時の自治体支援を担う国土交通省では、2021年12月より、「市町村における災害復旧事業の円滑な実施のためのガイドライン検討会」を開催しています。

Q.なぜガイドラインが検討されているのですか?

これまでにも災害復旧に関する市町村向けのガイドラインは公表されていますが、2016年4月に発生した熊本地震をきっかけに、市町村に対する支援方策のあり方について有識者懇談会で検討が開始されました。2017年3月に「防災に関する市町村支援方策のあり方について」の提言がなされ、実現に向けた取り組みが進められているところです。

[イメージ]市町村における災害復旧対応の現状と課題(国土交通省)
出典:市町村における災害復旧対応の現状と課題(国土交通省)

また、国土交通省が、大規模災害に見舞われた市町村における災害対応の実態について調査・ヒアリングしたところ、「職員数が年々減少している(特に災害復旧を担う技術系の職員数)」、「市町村の約1/4が過去10年間に災害復旧事業を経験したことがない」、「災害時には膨大な業務量を少数の職員でこなすことになる」など、市町村における災害対応の非常に厳しい状況が明らかになりました。このような背景から、近年の大規模災害や市町村支援の取り組み状況を踏まえ、課題の深掘りと追加の支援方策が、「市町村における災害復旧事業の円滑な実施のためのガイドライン検討会」で検討されることになりました。

「市町村における災害復旧事業の円滑な実施のためのガイドライン検討会」では、課題を以下のとおり整理しており、「災害復旧制度の改善」と「市町村向けのガイドラインの作成・活用」の2本立てで検討を進めています。

[イメージ]現状・課題を踏まえた検討事項と対応の方向性
出典:市町村における災害復旧対応の現状と課題(国土交通省)

Q.ガイドラインについて教えてください

前述のとおり、検討中のガイドラインは、既存の支援制度を市町村に徹底活用してもらうことを目的にしています。例えば、既存の支援制度の1つに国土交通省の「TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)」があります。

大規模災害が発生した際に、被災自治体が行う被災状況の把握、被害の拡大の防止、被災地の早期復旧などに対する技術的な支援を円滑かつ迅速に実施するための隊員を派遣する制度ですが、先述のヒアリング結果では、「これまでの災害でも職員だけで対応していたので、支援要請する意識がなかった」、「支援制度は知っていたが、町独自で要請の判断ができなかった」などの声も上がっていました。

このように、大規模災害を経験したことのない市町村においても、災害時の状況や実施すべき事項をイメージできるよう、体験談や教訓などの具体的な事例を記載したり、災害発生から復旧工事完了まで、災害復旧事業の各段階における支援制度や推奨される取り組みを紹介したりと、より分かりやすいものになるように、以下コンセプトで作成される予定です。

[イメージ]市町村における災害復旧事業の円滑な実施のためのガイドラインについて(国土交通省)
出典:市町村における災害復旧事業の円滑な実施のためのガイドラインについて(国土交通省)

自治体においては、大規模災害発生時、必要な自治体機能が保持できるように備えていることと思います。ガイドラインは、災害時の膨大な業務を効率的かつ確実に実施できる対策のヒントになるかもしれません。引き続き注目し、公表されましたら解説したいと思います。

参考

(2022年4月4日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。

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