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「デジタル田園都市国家構想」は、デジタルによる地方創生や社会課題解決を図る構想です。 2022年12月に、この構想を実現するための「デジタル田園都市国家構想総合戦略(以下、総合戦略)」が閣議決定されました。総合戦略は、各府省庁の施策ごとに2023年度から2027年度までの5か年のKPI(重要業績評価指標)とロードマップ(工程表)が位置づけられたものです。今回は総合戦略の概要のほか、デジタル田園都市国家構想の最新動向をご紹介します。
総合戦略では、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた新たな主要KPIとして、以下の3つが示されています。
中でも、デジタル実装の基礎条件整備に関するKPIは、地方のデジタル実装を下支えする枠組みとして位置づけられています。例えば、デジタル実装に取り組む自治体は、2024年度までに1,000団体、2027年度までに1,500団体というKPIが示されています。そのほかの具体的なKPIは次のとおりです。
また、総合戦略では、「地方は、それぞれの地域が抱える社会課題などを踏まえて、地域の個性や魅力を生かす地域ビジョンを掲げた「地方版総合戦略」の策定に努めます」とされています。
併せて、「地方版総合戦略」を策定する際の手引きが改訂され、各都道府県知事に対し、この手引きを参照しながら、総合戦略を勘案した地方版総合戦略の策定・改訂に努めてほしい旨の通知がなされました。手引きには、主に以下の内容が追加されています。
ポイントとなるのは、「地域ビジョンに関する記載」です。新たに「地域ビジョンの再構築」という項目が設けられ、以下が記載されています。
同時に、参考として総合戦略で示されたモデル地域ビジョンと、デジタルの力を活用した社会課題解決のための重要施策分野の例も記載されています。
出典:地方版総合戦略の策定・効果検証のための手引き(令和4年12月版)(内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局)(内閣府地方創生推進室)
総合戦略では、「デジタル実装に取り組む自治体を2027年度までに1,500団体とする」というKPIが示されていますが、一口にデジタル実装といってもさまざまな取り組みがあり、各取り組みが政府の何の施策と関連するのかイメージしにくい部分もあります。そんな時に役立つのが、デジタル田園都市国家構想に関連した情報が網羅されたWebサイト「デジタル田園都市国家構想」です。総合戦略の内容も分かりやすく整理され、政府と地方の取り組みが体系的に紹介されています。まだデジタル実装に取り組んでいない自治体においては、実装の方向性を決める際の参考になりそうですね。
さらに、他自治体の実装事例を参考にしたいという場合には、このWebサイト内のメニューブックがおすすめです。メニューブックには、「夏のDigi田甲子園」の実装部門で受賞した20事例の取り組みがまとめられています。全体概要のほか、経緯・動機、課題の具体的内容、取り組みによる成果、工夫した点など、知りたい項目が網羅されているため、参考にしやすいのではないでしょうか。また、各事例の概要説明動画もあるので、こちらも必見です。どんな取り組みなのか、動画で分かりやすく解説されている点が嬉しいですね。
なお、メニューブックの中で日立 自治体メールマガジン事務局が注目したのは、「書かない窓口」や「書かないワンストップ窓口」の事例です。「書かない窓口」や「書かないワンストップ窓口」は、デジタル庁において、2023年夏頃にはガバメントクラウド上で窓口DXSaaSを提供するということが公表されていますし、今後ますます注目度が高まることが予想されます。日立も、より利用者にとって利便性の高い窓口を実現するために、リモートでの相談・手続き対応が可能な「汎用デジタル窓口」をご提供していますので、お役に立てればと思います。
以上、デジタル田園都市国家構想の最新動向をご紹介しました。 自治体においては、自分たちの地域の課題を解決するようなデジタル実装は何だろう、と日々考えながら取り組みを進められていることと思います。この記事が、来年度に向けた情報収集の一助になれば幸いです。
(2023年3月6日 公開)
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