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近年、頻発・激甚化する災害に対応していくためには、ドローンなどの新たなテクノロジーを積極的に活用していく「防災DX」の推進が求められています。防災DXの推進にあたって、官民連携は不可欠であり、関係部局などにおいて、さまざまな検討が進められています。今回は防災DXを推進する上での課題や政府動向、官民連携で防災DXを推進するための協議会、防災DXに有用な日立のサービスについてご紹介します。
防災DXを推進するにあたり、全国知事会 危機管理・防災特別委員会によって2021年10月に公表された報告資料では、次のような課題があるとされています。
出典:防災におけるDXの推進に向けた取組報告書(全国知事会 危機管理・防災特別委員会)
例えば、自治体が被災や避難、被災者支援、応急・復旧対応などに関する情報を収集・集約するためのシステムの整備は、自治体ごとに進められており、政府システムとの連携や、システムの標準化が課題であると、多くの都道府県間で共通の認識となっています。
また、防災DXの推進には、システムの標準化などの課題に対応することや、財政面・技術面における政府の支援とリーダーシップが重要となることから、次の要望を取り込んだ提言が全国知事会から政府になされています。
出典:防災におけるDXの推進に向けた取組報告書(全国知事会 危機管理・防災特別委員会)
これらの課題を解決すべく、デジタル庁は、防災分野におけるデータ連携を促進して防災DXを強力に推進するための協議会「防災DX官民共創協議会」を立ち上げました。
出典:防災DX官民共創協議会
さらに、災害対応業務の効率化、省力化に資するさまざまな先進技術の研究開発、各種制度の手続きのデジタル化、などの取り組みも進められており、自治体の現場におけるDXの活用を促進するために、関係部局などが連携して推進しているところです。
先述した「防災DX官民共創協議会」の活動内容にある「防災分野のデータアーキテクチャーとデータ連携基盤の検討」については、防災DX官民共創協議会で公表されている資料にも記載されています。その資料では、デジタル庁は、住民向けの支援を行う「データ連携基盤」の構築と、災害対応機関などで災害情報の共有を図る「総合防災情報システム」の構築を並行して進め、「データ連携基盤」と「総合防災情報システム」でデータを連携することが示されています。
出典:防災DX官民共創協議会 公開シンポジウム パネルディスカッション(デジタル庁)
このようなデータ連携の際に自治体が気になるのは、個人情報の取り扱いではないでしょうか。
これについては、2023年1月に「防災分野における個人情報の取扱いに関する指針」が示されています。基本的な考え方は以下のとおりです。
また、指針には「こんなケースでは個人情報の扱いをどうすればいいか」が事例としてまとめられています。災害対応に知見を有する自治体の声をもとに図解されている点がポイントです。災害対策本部室の大型モニターでの映像共有や、近年活用が増えているドローンの映像を情報共有システムで共有する場合など、気になる事例が15件掲載されています。
「防災DX官民共創協議会」の「防災DXに係る技術動向と重点分野・普及方策等の検討」の活動の一環として、デジタル庁の「防災DXサービスカタログ(以下、サービスカタログ)」があります。サービスカタログでは、自治体における防災DXを「平時」、「切迫時」、「応急対応」、「復旧・復興」といった局面ごとに有用なサービスで分類しており、それらのサービスを活用することで、災害情報の収集・共有・分析・伝達などの効率化や精度向上を図ることができます。日立でもさまざまなサービスをご用意しており、今回はサービスカタログに登録されたものをご紹介します。
防災情報システムや災害対応ドローンなど、デジタル技術も活用した防災・減災対策に取り組むことができるようにするための地方財政措置などもありますので、うまく活用しながらご紹介したシステムなどを利用して防災DXを進めてはいかがでしょうか。
(2023年5月9日 公開)
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