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政府は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づき、さまざまな取り組みを進めています。
その一環である「デジタル行財政改革の実行」に関する「デジタル行財政改革 取りまとめ2024」が、2024年6月に閣議決定されました。
本記事では、この取りまとめが自治体にどのような考え方を求めるものであるかを解説します。

デジタル行財政改革の実行とは?

政府は、急激な人口減少社会に対応するため、利用者起点で我が国の行財政のあり方を見直し、デジタルを最大限に活用して公共サービスの維持・強化と地域経済活性化を図り、社会変革を実現しようと、2023年に総理が議長を務める「デジタル行財政改革会議」を設置しました。「デジタル行財政改革会議」は、規制改革・デジタル改革・行政改革・デジタル田園都市国家構想および各府省庁の改革の司令塔であり、国・地方を通じて一体的かつ強力にデジタル行財政改革を推進する組織です。会議では、業務プロセスの再設計、情報システムの統合と標準化、データ活用の強化、人材育成、法制度の見直しなどが検討されました。

[イメージ]デジタル行財政改革会議を司令塔とする一体的な推進体制
出典:デジタル行財政改革について(内閣官房)

「デジタル行財政改革」は、以下3つの基本的考え方に沿って進められています。

  1. 地域を支える公共サービス等に関し、システムの統一・共通化等で現場負担を減らすとともに、デジタルの力も活用してサービスの質も向上させる
  2. デジタル活用を阻害している規制・制度の徹底的な見直しを進め、社会変革を起動する
  3. EBPM(Evidence-Based Policy Making)の手法も活用し、政策手段と政策目的の論理的なつながりを図示化したロジックモデルに沿って重要評価指標(KPI)や 政策効果の「見える化」を進め、利用者にとって不断の改善をしていく

上記方針に沿って、まずは交通/教育/介護/医療/子育て/福祉相談/防災/インバウンド・観光/スタートアップを重点分野として、各分野について現場の課題をヒアリングしながら、公共サービスの維持・強化と地方の活性化を図るため、予算事業と規制・制度の見直しを一体的に進めています。

デジタル行財政改革 取りまとめ2024について

「デジタル行財政改革の実行」において、利用者起点で行財政の在り方を見直し、デジタルを最大限に活用して公共サービスなどの維持・強化を実現するための取り組みをまとめたのが、「デジタル行財政改革 取りまとめ2024」です。

「デジタル行財政改革 取りまとめ2024」の概要は、下図のとおりです。本記事では「デジタル基盤(デジタル基盤の構築)」に注目してご紹介します。

[イメージ]デジタル行財政改革 取りまとめ2024(概要)(内閣官房)に赤枠を追記
参考:デジタル行財政改革 取りまとめ2024(概要)(内閣官房)に赤枠を追記

「デジタル基盤」では、「国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針」の決定が明記されました。今後は同基本方針のもと、今後5年を集中取り組み期間としてデジタル基盤の構築と運用が進められます(「国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針」の詳細については、自治体への影響が大きいと思われますので、後述します)。

国と自治体が協力・連携して進めるDX

前述した「国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針」には、国と自治体が共有すべき問題意識として以下が示されています。

  • 国と自治体は、緊密に連携・協力をして、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進することによって、住民の公共サービスの提供等に係る負担を軽減するとともに、行政職員の負担も軽減する必要がある
  • 「利用者起点」でのサービス改革を進めることが何より重要
  • デジタル化をそれぞれの主体がバラバラに進めるのではなく、必要な基盤の整備やシステムの共通化の促進など、デジタル投資そのものを効率化していく必要がある

また、国と自治体が連携・協力してDXを進めるには、各省庁が所管分野のBPRとデジタル原則を徹底する「タテの改革」と、国および自治体が共通して利用するデジタル公共インフラ(DPI)の整備・利活用と共通SaaS利用を推進する「ヨコの改革」の観点が必要だとしています。タテの改革とヨコの改革を進めることによって、以下の行政をめざすとしています。

  • 急激な人口減少社会に対応するため、システムは共通化、政策は自治体の創意工夫という最適化された行政
  • 即時的なデータ取得により社会・経済の変化や国民の生活様式の多様化に柔軟に対応するとともに、有事の際に状況把握や給付などの支援を迅速に行うことができる強靱な行政
  • 規模の経済やコストの可視化及び調達の共同化を通じた負担の軽減により、国・地方を通じ、トータルコストが最小化された行政

[イメージ]国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針の概要
出典:国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針(概要)(内閣官房)

「国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針」は、国と自治体が連携してデジタル化を進め、国民に対してより効率的で便利な行政サービスを提供するための基本的な枠組みです。方針をもとに、自治体職員に求められる考え方を整理すると、以下の点が重要であると解釈できます。

  • デジタル化の推進(国の共通基盤を活用し、効率的なデジタル行政を進める)
  • 柔軟な適応力(新しい技術やシステムに柔軟に対応し、業務フローを見直す)
  • 住民視点の強化(デジタル化が住民サービス向上にどう貢献するかを常に意識する)
  • セキュリティ意識(セキュリティと個人情報保護を徹底し、基盤の安全な運用に努める)
  • データの活用促進(データを収集・分析し、政策立案や業務改善に役立てる)
  • デジタルスキル向上(継続的にデジタルスキルを学び、共通基盤の運用に対応する)

以上、デジタル社会の実現に向けた取り組みにおいて今後自治体に求められる考え方について解説しました。
「デジタル行財政改革 取りまとめ2024」に基づく取り組みの実施は、業務効率の向上やコスト削減、サービスの質の向上など、多くのメリットが期待される一方で、デジタルスキルの向上や組織改革など、自治体側の対応も求められます。日立は、デジタル社会の実現に向け、自治体BPRをはじめとした業務の効率化や行政サービスの利便性向上を支援するサービスなど、自治体DXの各種取り組みを推進してまいります。

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