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[イメージ]政府が描く「観光DX」と生成AI活用

政府が描く「観光DX」と生成AI活用

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観光地の魅力を最大限に引き出し、地域経済を活性化する鍵として注目される「観光DX(デジタルトランスフォーメーション)」。
観光DXは、観光事業における業務効率化だけでなく、地域全体の観光価値を向上させる戦略です。例えば、来訪者の動態データや予約情報を収集・分析することで、閑散期の誘客施策や滞在時間の延伸施策がより的確になります。
人口減少、インバウンドの増加、旅行ニーズの変化などにより、観光地が転換期を迎えている中、自治体には観光DXを推進し、地域資源の魅力を新たな形で発信したり、観光地経営を高度化したりする役割が求められています。

政府が描く「観光DX」とは?

観光庁では、「観光DX」を、業務のデジタル化により効率化を図るだけではなく、デジタル化によって収集されるデータの分析・利活用により、ビジネス戦略の再検討や、新たなビジネスモデルの創出といった変革を行うものと位置づけています。また、2022年9月には「観光DX推進のあり方に関する検討会」を設置し、観光DX推進における現状と課題を整理するとともに、課題の解決策、将来ビジョン、ロードマップなどについて議論を行いました。さらに、その結果を「観光DX推進による観光地の再生と高度化に向けて(最終取りまとめ)」として2023年3月にまとめました。最終取りまとめでは、以下の観点を踏まえ、地域の実情に応じて観光DXを推進していくことが重要だとしています。

  1. 旅行者の利便性向上・周遊促進
  2. 観光産業の生産性向上
  3. 観光地経営の高度化
  4. 観光デジタル人材の育成・活用

観光DX推進の全体像は下図のとおりです。
各取り組みを通じて得られたデータは、地域データベースに集約されます。

さらに、その集約データを活用した施策を進めることで、地域や事業者ごとの“個別最適”から、観光地全体・観光産業全体の“全体最適”への転換を図ります。このような流れを通じて、稼ぐ地域を創出していくことが大切だとしています。

[イメージ]1. はじめに:観光DX推進に向けた全体像

生成AIの効果的な活用とは

デジタル社会の実現に向けて、観光DX推進にも生成AIの活用が期待されています。生成AIは急速に発展している一方で、情報の取り扱いや偽・誤情報のリスクもあるため、適切な活用が求められます。
このような背景から、観光庁では、2024年度に生成AIを活用した調査事業が実施され、手引書が作成されました。手引書の一つ「観光地・観光産業の生成AIの効果的な活用に向けて」では、旅行者・観光産業・観光地それぞれにおける生成AIの活用目的や課題に加え、活用例が整理されています。

例えば、旅行者における活用では、「生成AIを活用した観光地におけるルール等の多言語対応による「情報収集の円滑化」のほか、趣味・嗜好に応じた旅行計画等の「レコメンドの提供」による利便性向上・周遊促進が期待される」とされています。

[イメージ]2.1 旅行者における活用

また、観光産業における活用では、「生成AIを活用した従業員のFAQ対応・多言語対応等の「業務効率化」のほか、PMS(Property Management System:宿泊事業者における顧客予約管理システム)等が保有するデータの分析等を通じた「経営の高度化」による生産性向上が期待される」とされています。

[イメージ]2.2 観光産業における活用

そして、観光地においては、「生成AIを活用したアンケートの集計等の「業務効率化」のほか、インバウンド旅行者における口コミ分析を踏まえたマーケティング施策の立案等の「経営の高度化」による観光地経営の高度化が期待される」とされています。

[イメージ]2.3 観光地における活用

さらに、生成AIの導入・展開のステップごとのポイントもまとめられています。
ステップは「現状把握」、「データ前処理」、「学習」、「システムへの実装」、「提供」、「現場利用・実証の順」に進め、最初のステップである「現状把握」では「業務フロー整理やより広範な生成AI活用検討が重要」ということが明記されています。

[イメージ]5.2 観光分野における生成AI活用のポイント

日立の観光DX事例

最後に、日立の観光DX事例をご紹介します。

奈良県と日立は奈良県での周遊・滞在型観光を促進するため、旅程をAIで作成するWebサービス「ならいこ」を開発し、2024年12月4日より提供を開始しています。
「ならいこ」は、ユーザーが選択した興味・関心のあるキーワードなどに応じて、AIが奈良県内の複数のおすすめスポットやイベント、それらの巡り方を提案し、旅程を作成します。各スポットの訪問順や移動経路などの情報を具体的に提案可能であり、ユーザーにとって時間や手間のかかる旅行計画の負担を大幅に軽減します。

他にも、バーチャル・リアリティ(VR)技術を活用した「バーチャル北海道事業」や、香川県小豆島において8月1日より実証実験がスタートした、生体認証およびビーコンなどを活用したデジタルチケットによる新たな周遊企画券サービス「tebu-Ride PASS」といった事例もあります。

以上、政府が描く「観光DX」と生成AI活用について、日立の観光DX事例と合わせてご紹介しました。 今後も日立は、自治体の皆さまとともに地域の魅力を再発見し、観光を通じた持続可能なまちづくりを支援していきます。10月8日、9日に開催される「地方自治情報化推進フェア2025」では、実際の導入事例や体験型展示を通じて、観光DXの可能性をご体感いただける予定です。ぜひ、ご予定いただき、日立ブースへお越しください。

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