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自治体における生成AIの活用が広がる中、デジタル庁は2026年6月、「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン(第2.0版)」を公表しました。
本ガイドラインは、政府・行政機関における生成AIシステムの調達・利活用を対象に、活用を進めるうえでの考え方や留意点を整理したものです。
直接の適用対象は政府機関ですが、自治体においても生成AI活用に向けた庁内ルールや運用方針を検討する際の参考資料として活用できる内容となっています。

今回は、第1.0版から変わったポイントを3つに絞ってご紹介します。

「考え方」から、実務で参照しやすいガイドへ

第2.0版で最も顕著な変化は、「用語定義の明確化」です。「生成AIシステム」「生成AIモデル」「学習」といった用語が整理・定義され、活用の前提となる考え方が明確になりました。これにより、用語の意味を踏まえ、実務で参照しやすい内容となっています。

同時に、対象範囲も大きく拡大しました。第1.0版では主にテキスト生成AIを想定していましたが、第2.0版では画像生成AIや動画生成AI、AIエージェント(複雑なタスクを自律的に実行するAI)なども、AIガバナンスの枠組みの対象として位置づけられています。
特にAIエージェントについては、「利用者が高度なタスクを実行できるシステムの場合の適正利用促進」について、実装上の注意が明記されています。

さらに、「調達チェックシート」と「契約チェックシート」という、実際の発注担当者が使うツールが、より実務的で参照しやすいものになりました。第2.0版では詳細説明が脚注に移動されてコンパクト化され、要求事項がより明確に把握しやすくなっています。また、プロンプトインジェクション攻撃やDoS攻撃など、生成AIシステムで考慮すべきセキュリティ上の脅威への対策も、調達時の確認事項として取り込める形で整理されています。

リスク管理・ガバナンスの考え方が具体化

第2.0版では、リスク判定と情報保護の両面で、実務に踏み込んだ記載が加わっています。

高リスク判定の「3つの軸」
「高リスク」判定については、「A.生成AI利活用業務の性格」「B.利用範囲」「C.出力結果の政府職員等による判断を経た利活用」といった3つのリスク軸が示され、これらの軸に沿って回答することで、「高リスクに該当する可能性が高い」か「低い」かを簡易的に判定できる「高リスク判定シート」が提供されています。自治体は、この判定シートを使うことで、生成AI活用時にリスクを段階的に整理することができるため、庁内で説明しやすい形で検討を進めることができます。(下図は回答した結果「高リスクに該当する可能性が低い」と判定された例)。

[イメージ]行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン(第2.0版)

機密情報・個人情報保護の強化
生成AIが入力されたデータを学習する場合、入力者以外にも漏えいするリスクへの対策として、権限管理やログ取得に関する記載が追加されました。加えて、ウェブサイトなどで行政情報を提供する際のユーザビリティ確保についても言及されており、セキュリティと使いやすさの両立が求められています。

「生成AIを使うか」から「どのように安全に利用するか」へ

第2.0版では、「生成AIを使うか」の検討だけではなく、「どのように安全に利用するか」を考えるためのルールや仕組みまで踏み込んで整理されました。特に自治体が注目すべきポイントは、以下の3つの追記です。

住民向けサービスでの利用者保護
住民向けチャットボットなど、不特定多数の住民が利用するサービスでは、適切な利用規約等を整備し、利用者から個別の同意を取得することが望ましい旨が追記されました。住民向けサービスで生成AIを活用する自治体にとって、実装時に留意しておきたいポイントです。
AIエージェント運用時の安全設計
自律的にタスクを実行するAIエージェントについては、出力結果の適切さを人が確認しないままタスクを実行するような利用を制限すること、またはそのような利用を行う場合に事前の報告を求めることなど、適正な利用を促すためのルール整備が示されています。
知的財産権リスクへの具体的言及
生成物が既存の著作物に無意識に類似するリスクや、音声回答機能が著名人の声に類似するリスクなど、これまで見過ごされがちだった課題が具体的に示されています。

このように、第2.0版では、生成AIの活用を前提に、組織として安全に活用するための考え方や対応事項がより具体的に示されました。
自治体においても、生成AIの導入を検討する際には、導入後に安全かつ継続的に活用できる体制をあわせて整えることが、重要になっていきそうです。

日立では、自治体におけるAI活用の取り組みを通じて、安全な利活用、業務への適用、運用定着に向けた知見の蓄積を進めています。生成AIをはじめとしたAI活用の方向性検討から庁内ルールの整備、業務への適用検討、運用定着まで、お困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。

参考

(2026年8月3日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。

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