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――地域活性化で成功している自治体に共通している特徴などがあれば、教えていただけますか。

イノベーションが起こせる自治体

[写真]椎川忍氏には、インタビューの中で地域活性化で成功している自治体に共通している特徴について、事例を交えてお話しいただきました。

まず、組織と地域の風土改革ができていないとダメですね。古くからある中央集権的な縦社会だけではなく、ネットワークを意識して、うまく横で連携できる人を使えるような組織や地域になっていないといけないと思います。そのためには、経営者、つまり地域リーダーや首長の責任で風土改革を行うことが必要ですね。
また、自治体職員がサラリーマン化して役所の管理運営だけをやっているのではなく、地域経営をめざすということも大事です。
仕事を効率化するために分業は必要ですが、「自分の仕事さえやっていればいいんだ」と言って、地域社会の皆さんと協力しない人たちが一番困ります。

加えて、単なる改革ではなく、イノベーションが起こせる自治体や地域が成功しています。
人マネではなく、とにかく自分で考える。それから、いろんな世界の人と交わり、その話を聞く。場合によっては助けてもらう。そういったことによってイノベーションが起きます。二番煎じ、三番煎じでは、地域活性化はうまくはいきません。

カリスマが売れることによって地域ブランドが確立する

それから、うまくいっている地域には、必ずカリスマが出てきます。
リーダーであれ、実行する人であれ、その人が売れることによって地域ブランドが確立します。
カリスマと呼ばれるような人は、その人自身が魅力的だから、いろんな人が集まってくる。また、いろんな世界を知ってるから、横のネットワークを活用して、イノベーションを起こせるんです。狭い世界でやっていてはできないですから。また、そういったカリスマを組織としてうまく育てながら使える地域は成功しています。

たとえば、石川県羽咋(はくい)市には、スーパー公務員と呼ばれる高野誠鮮さんがいます。彼は「神子原米(みこはらまい)のブランド化」「限界集落への若者の呼び込み」「UFOによるまちおこし」など、さまざまな取り組みで全国的に有名です。地域の資源や特徴を生かしてブランド化し、地域全体の知名度を上げることに成功しています。どの取り組みも、今までの役所のやり方ではできないようなことでしたが、彼の上司が「犯罪以外のことは全部責任とるからやってみろ」と言ってやらせたんです。だから、イノベーションが起きた。つまり、“高野誠鮮”というカリスマの才能と、その才能を殺さない組織があって知恵が生まれたということです。また、そういったイノベーションが起きて注目されたり、価値が高まったりすると、外からやって来て商売を始める人が出てきて、地域はますます盛り上がります。

地域を売るには消費者目線が必要

――今はその地域の人たちだけでなんとかしようという時代ではないという感じがしますね。

そうですね、どうしても消費者目線が必要になってくると思います。最終的にはモノや地域を売るということですからね。消費者目線というのは、高齢者だけではなく、若い人とか、働いている我々の年代とか、子どもたちとか、いろんな人たちの考えが入ってこないといけない。
それから、ICTを活用してネットで販売しているようなところが成功していると思います。最終的には、何かを売らないと経済は生まれませんからね。経済を生まないと地域の発展はない。とはいえ、何でもいいわけではなくて、「自分たちの地域にある何を売るのか?」ということが重要です。

「内発的発展論」のモデル「やねだん」

たとえば、鹿児島県鹿屋(かのや)市の柳谷集落(通称「やねだん」)は、限界集落予備軍といってもいいくらいの地域でしたが、土着菌に着目して、それを活用したカライモ栽培やそれを原料にした芋焼酎を作って、韓国に輸出できるまでになりました。韓国では、この焼酎に惚れ込んだ人が「やねだん」という名前の居酒屋を開いて、今度5店舗目が開店するという話もあります。すごいですよね。土着菌は昔から地域の人たちが使ってはいましたが、大学の先生に効用を研究してもらって、商品化しています。家畜に食べさせたり、畜舎に敷けば体調管理や畜産公害の減殺になる。畑に入れればいい野菜がとれるということになり、今では外からも買いに来る商品になっています。あそこはね、何も外から持ってきてない。自分たちの地域にあるものしか使ってないんですよ。補助金すら一銭ももらっていません。

――しかも土着菌という地味なところによく着目しましたよね。

本当にね。一見、何の変哲もないところなんです。水田もなく、畑と山と畜産しかないので、知らなかったら通りすぎるような何もない集落なのに、あるものの中から土着菌に注目して地域おこしをしたんです。地域おこしをやる前は、人口がどんどん減って270人くらいまでいったんだけど、今は移住してくる人が増えて300人を越えてます。だから、何もないなんてことはないんです。なんでも資源になるんですよ。たとえば不良少年少女がいないというのも資源なんです。この地域は、集落共同で子ども育成会活動を行っていて、他の家の子どもも自分の子どものように叱ったり、怒ったりするわけです。寺子屋活動もやっていて、非行に走る子どもがいない。非行の問題がないということは、安心・安全な地域ということです。だから、同じ学区からも健全な子育てをめざす家族が引っ越してくる。地域全体が家族のようにみんなで助け合って生活し、あるものを生かして地域づくりを行っています。そういう点で、「内発的発展論」のモデルケースだと僕は思っているわけです。

「ネオ内発的発展論」のモデル「高知県の地域支援企画員を活用した地域産業おこし」

「ネオ内発的発展論」のモデルは、高知県が地域支援企画員制度を活用してやっている地域産業おこしの例があげられます。
これはどういうものかというと、県庁マン約60人を地域に駐在させているんです。私は「県庁マンの駐在さん」と呼んでるんですけどね。彼らは市町村や地域内での意見交換や連携を強化して、さまざまな取り組みを進めています。具体的には、「産業振興計画の地域アクションプランに盛り込んだ個々の取り組みの支援」「新たに盛り込む取り組みの育成」「住民の皆さんの活動のサポートや情報提供」「人と人とのつなぎ役や地域と市町村や県とのパイプ役」といったことをしています。行政改革の中で、こんな取り組みができている県は他にないし、これからでは他県はマネできないでしょうね。
これは、前知事の橋本大二郎さんがスタートした取り組みで、最初は、県庁の広報公聴とか、コミュニティの再生を目的としていました。現知事の尾崎正直さんは、この制度を発展させて地域産業おこしに活用しています。
高知県は一次産業は四国4県の中でも最高レベルの生産額があるのに、六次産業化となるとがくっと落ちるので、地域ごとに加工品開発をやっていこうとしています。その時に、「県庁マンの駐在さん」が中に入って、地域内の協力体制をつくっていくし、県レベルで活躍している人材、全国レベルのアドバイザーや大学教授を外から呼び込んできて結びつけるといったことをしています。こうした取り組みがまさに「ネオ内発的発展論」の核になっているんです。

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