はい。「地域IoT実装推進ロードマップ」にあるとおり、地域の課題解決を図るための効率的・効果的な手段としてICT/IoTが期待されています。しかし、予算の制約や人材の不足、推進体制が確立していないといった理由から、取り組みが進んでいない自治体も数多いのが現状です。
そのような自治体に対して総務省が実施しているのが、「地域IoT実装のための計画策定・推進体制構築支援事業」です。本事業では総務省が自治体に対し、地域IoTの計画策定支援、財政支援、人的支援、普及促進活動を行っています。
総務省が支援団体の公募を実施し、採択された自治体はこの支援を受けることができます。
はい。2018年度に採択された自治体は総務省および支援実施事業者による、計4回の会合と随時のテレビ会議などを通じて、徹底的な支援を受けました。特に、地域IoTの計画策定においては、まず次の7項目を基本構成とすることが示されました。
また、ロジカルシンキング手法の研修も実施されました。
これは、ICT/IoTによる解決策から考えるのではなく、地域の各課題分野における「将来像」と「現状」の間に存在する「問題」を明らかにし、その背景にある「課題」を考え抜き、課題への「解決策」を考えるという流れを総務省が重視しているためです。そのための思考法が、ロジカルシンキングなのです。その流れは次のとおりです。
2018年度に行われた支援事業には、次の七つの自治体が選定されました。
自治体 | 分野 |
---|---|
長野県信濃町 | 農業 |
石川県羽咋市 | 農業・医療介護 |
京都府南山城村 | 観光 |
大阪府四条畷市 | 防災・子育て・庁内システム |
島根県安来市 | 防災 |
山口県美祢市 | 教育・観光 |
熊本県宇城市 | 防災・鳥獣被害対策 |
総務省による支援の成果として、たとえば、「秋芳洞」という鍾乳洞を観光資源に持つ山口県美祢市では、「安心して観光できる環境整備」を課題として定義し、鍾乳洞内へのWi-Fiの敷設、QRコードを活用した鍾乳洞内の多言語案内、商店街へのキャッシュレスの導入といった施策を立案しました。
支援事業に選定された各自治体からは、「将来像を描画するにあたって、ロジックツリーでの整理が役に立った」、「庁内で横断的な連携を確立できた」、「実効性の高い計画を立てることができ、計画を基に予算も確保できた」といった声が上がっています。
(2019年7月22日 公開)
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