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[イメージ]Society 5.0時代の行政サービスとは

Society 5.0時代の行政サービスとは

読んでナットク!自治体ICT

政府は最新のデジタル技術を前提としたSociety 5.0時代に向けた行政システムへの移行をめざしています。
デジタル・ガバメント分科会において、国や自治体のデジタル化を推進するための具体的方策や評価指標などを検討中ですが、2019年6月、新たに「グランドデザインWT」を設置し、行政サービスのグランドデザイン(*)の骨子や、実現に向けた検討課題について議論しています。

9月に開催された第8回会議では骨子案が示されました。Society 5.0時代の行政サービスを考えるうえでポイントとなるキーワードがたくさん盛り込まれていますので、こちらについてご紹介します。

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グランドデザイン:理念や将来像、すすむべき方向性を示した構想や、長期にわたって遂行される大規模な計画。

デジタル・ガバメントの延長線上で検討されるグランドデザイン

これまで政府は、デジタル・ガバメント推進方針などを実現していくために、技術的な方針や課題を各タスクフォースで検討してきました。デジタル・ガバメントの実装の中で出てきた新たな課題に対応するチームが追加されることとなり、グランドデザインWTが新設されました。

グランドデザインWTの全体の流れは以下となっており、これまでのデジタル・ガバメント推進方針の延長線上でグランドデザインが検討されます。また、グランドデザインは、Society 5.0の取り組みやIT戦略と横並びになるような位置付けで推進していくことになっています。

[イメージ]グランドデザインWTの全体の流れ
出典:グランドデザイン検討の進め方について 内閣官房IT総合戦略室(首相官邸)

さらに、グランドデザインWTは、ITに係る高度な専門知識、経験・実績はもちろん、以下の専門性や技術領域をカバーできるメンバーで構成されています。その対象には、「国-自治体の情報連携」「自治体情報システム」といった項目も含まれています。実際に、これまでの議論のなかでは、「府省だけでなく、最終的にサービスを提供している自治体のシステムやサービスまでをグランドデザインに含めていってほしい」といった意見も出ています。

[イメージ](参考)グランドデザインWTの専門性について
出典:グランドデザイン検討の進め方について 内閣官房IT総合戦略室(首相官邸)

グランドデザイン骨子案のポイントはデータ整備

骨子案では、2030年を中長期ターゲットとして、実現すべき行政サービス像や、それを支える情報システムの在り方(デジタルインフラの整理・特定を含む)、既存システムや業務の将来的な在り方への移行に向けた方針などが、以下の構成で示されました。

[イメージ]行政サービスのグランドデザイン 目次・構成案
出典:行政サービスのグランドデザイン骨子(案)デジタルガバメント技術検討会議 グランドデザインWT(首相官邸)

0章でポイントとなるのは「デジタル前提」です。社会動向、技術動向、社会の方向性、海外動向のどれをとっても、「デジタル前提」は避けて通れません。そんな中、自治体は以下のように変わるとされています。

  • AI等を使いこなすスマート自治体への転換、自治体行政の標準化・共通化
  • 行政のフルセット主義からの脱却、従来の行政単位の垣根の柔軟化
  • 自治体は、新しい公共私相互間の協力関係を構築する"プラットフォーム・ビルダー"に転換

1章では、0章をふまえ、海外動向などを参照しつつ、2030年の行政サービスの在り方をユーザー目線・システム目線で記述しています。1章の内容を図式化したものが以下となります。

[イメージ]行政サービスのエコシステムと改めて原則(イメージ)
出典:行政サービスのグランドデザイン骨子(案)デジタルガバメント技術検討会議 グランドデザインWT(首相官邸)

2章では、具体的な施策と優先的取組事項として、タッチポイント層・データ層・基盤的機能の一般的なシステム構造に沿って整理することや、実施する政府の調達・ガバナンス改革について言及しています。

全体的に、データ整備に関するキーワードがポイントとなっていますね。デジタル前提の社会をめざすわけですから当然ですが、Society 5.0時代の行政サービスを考えるうえでポイントとなるキーワードがたくさん盛り込まれています。

データ標準を活用した観光・公共・防災PoCを実施

一方で、Society 5.0の実現にむけ、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)などの研究開発プロジェクトでは、農業、インフラ、防災、自動走行などの分野でデータ連携の取り組みが進められています。
今後は分野をまたいだデータの連携を実現させるために、十分なサイバーセキュリティ対策のもと、分野間の「データ連携基盤」の構築を進めることが急務であるとされています。

そこで、デジタル・ガバメント分科会では、観光・公共・防災分野において、IT総合戦略室のデータ標準や、推奨データセットなどのデータ標準を活用した観光・公共・防災PoCの実施について検討しています。

[イメージ]データ標準を活用した観光・公共・防災PoCの実施
出典:Society 5.0を支えるデータ標準と観光・行政・防災での実証 内閣官房IT総合戦略室(首相官邸)

なぜ、観光・公共・防災分野かというと、以下の理由により、データ標準のショーケースとして最適であり、他分野にデータ標準の活用を広げる起爆剤となり、利用技術、品質保証などの検証が可能であると考えられるからです。

  • 国や自治体は多くのイベント情報・観光情報を保有している
  • 観光以外の公共施設情報や防災情報も分野横断で集約することで、利用者に使いやすい環境を整備できる
  • 観光・防災分野は多様な部門の行政データを扱う領域であり、効果を実感しやすい
  • 情報公開に積極的な分野なので実証しやすい

今後のスケジュールとしては、2019年度中に観光用データセットを自治体に展開し、2019年秋に観光用データセットを使った小規模PoCが実施されます。さらに2020年春から夏までの間に本格PoCが実施開始される予定です。

参考

  • 第8回新戦略推進専門調査会デジタル・ガバメント分科会 第34回各府省情報化専任審議官等連絡会議 合同会議(首相官邸)※骨子案はこちら
  • 第7回新戦略推進専門調査会デジタル・ガバメント分科会 第32回各府省情報化専任審議官等連絡会議 合同会議(首相官邸)※グランドデザインWTはこちら

(2019年11月11日 公開)

  • * 記事の内容は配信時点での情報をもとに作成しているため、その後の動向により、記載内容に変更が生じている可能性があります。

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