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政府は、「地方創生においてSDGs*が重要」と考え、地方創生SDGsを推進しています。
自治体行政において、持続可能なまちづくりや地域活性化に向けた取り組みをSDGsの理念に沿って進めることにより、政策の全体最適化や地域が抱える社会課題解決の加速化という相乗効果が期待できるからです。
ところが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって新たな社会課題が浮き彫りになっています。自治体行政においては、医療体制の再整備や行動制限がもたらす経済停滞への対策など、多くの政策課題が発生しています。新型コロナウイルス感染症で地域の産業や人々の暮らしが困難にぶつかる中、将来にわたって安心して住める持続可能なまちづくりのために、地方創生SDGsをどう進めていけばよいのでしょうか。
自治体における地方創生SDGsは、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の横断的な目標として位置付けられており、地方創生SDGsに取り組んでいる自治体の割合は2020年度の時点で39.7%となっています。そして政府は、2024年度までに取り組んでいる自治体の割合を現状の39.7%から60%にまで引き上げようとしています。地方創生SDGsの普及促進活動の展開に加えて、自治体を支援するものとして以下の取り組みがあり、KPIを設定し目標達成に向けて推進しています。
新型コロナウイルス感染症は、地域経済や生活だけではなく、国民の意識や行動にもさまざまな影響を与えました。
出典:第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2020改訂版)について
〜感染症の影響を踏まえた今後の地方創生〜(首相官邸)
政府は、新型コロナウイルス感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るため、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(以下、臨時交付金)」を創設しました。「コロナに強い社会環境整備」、「新たな暮らしのスタイルの確立」、「新たな付加価値を生み出す消費・投資の促進」の角度から、必要な取り組みを重点的かつ総合的に展開し、「新しい生活様式」とそれを支える強じんかつ自律的な地域経済を構築するために、自治体に取り組んでほしい政策分野として20項目(以下図「●」のキーワード)が示されました。
出典:新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した「新たな日常」に対応するための政策資料集(首相官邸)
なお、臨時交付金は、自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、各自治体の判断により、感染症対策などに自由に使うことができる仕組みになっています。各地域における臨時交付金の活用事業などを紹介するポータルサイト「地方創生図鑑」も公開されていて、どのような取り組みがあるのかを検索できるだけでなく、首長や担当者のコメントなども参照できるため、とても参考になります。
政府は、2020年8月に「地方創生SDGsと新型コロナウイルス感染症に関する検討ワーキンググループ」を設置し、SDGsの枠組みの下でのコロナ対策について緊急的な報告「地方創生SDGsと新型コロナウイルス感染症対策に関する提案書(以下、提案書)」を取りまとめました。
提案書では、コロナ禍とSDGsは、1.危機管理、2.経済・社会・環境の統合的取り組みの必要性、3.グローバルな枠組みなどの点で、共通点が多く親和性も高いため、コロナ禍以前にスタートし行政施策としての取り組みも蓄積され始めているSDGsの大きな枠組みにコロナ対策を組み込み、両者を連携して推進することが行政効率の面からも有効であるとしています。
さらに、自治体におけるコロナ対策の立案と実施の具体的方向として、以下三つの視点に留意して進めることが推奨されています。
また、2020年6月には、自治体によるSDGs達成のためのモデル事例である「SDGs未来都市」を対象に、地方創生SDGs推進による新型コロナウイルスの影響への取り組みについて調査がなされました。地域の飲食店や生産者、事業者を支援する取り組みや、高齢者への買い物代行、学生のU-ターン・定住の促進、健康促進などさまざま事例が報告されています。事例を参考にしながら、地域で実施している取り組みを整理して、コロナ対策とあわせて地方創生SDGsをバージョンアップできるとよいですね。
(2021年5月10日 公開)
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