読んでナットク!自治体ICT
いつも、日立 自治体メールマガジンをご愛読いただき、ありがとうございます。2019年最後の配信は、毎年恒例の年間ランキングです。
2019年にお届けした記事の中から、自治体の方の人気が高かった記事TOP5をご紹介します。
一体どんなテーマが人気だったのでしょうか?
それでは、第5位から順に、記事の概要とその後の動向などを解説します。
第5位は、政府がIT政策の方向性について議論・検討をすすめていた背景や、その内容についてご紹介した記事でした。特に自治体に関連する部分として、「公共・民間部門のデジタル時代への対応の促進」に含まれる「(1) 行政のデジタル化の徹底」という項目で、具体的に「一元的なプロジェクト管理」、「人に優しいデジタル化」という二つの方向性が示されていたことをご紹介しました。
その後6月に公表された、「デジタル時代の新たなIT政策大綱」では、全体像が以下のように整理されています。
出典:第76回高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 第7回官民データ活用推進戦略会議 合同会議 資料1-1(首相官邸)
また、記事でご紹介した「行政のデジタル化の徹底」という項目には、マイナンバーカードの利活用促進が示されており、具体的なスケジュールなども示されています。たとえば以下の通りです。
第4位は、「地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及びAI・ロボティクスの活用に関する研究会」で取りまとめられた報告書について解説した記事でした。
報告書では、2040年ごろの自治体における一番の課題となる労働力の絶対量不足を解消するために、行政事務を効率化する「スマート自治体」への転換が求められること、そのための具体的方策として以下が示されていました。
(1)業務プロセスの標準化、(2)システムの標準化、(3)AI・RPA等のICT活用普及促進、(4)電子化・ペーパーレス化、データ形式の標準化、(5)データ項目・記載項目、様式・帳票の標準化、(6)セキュリティ等を考慮したシステム・AI等のサービス利用、(7)人材面の方策
この報告書を踏まえ、2019年8月より総務省において「自治体システムデータ連携標準検討会」が開催されています。この検討会は、「地域情報プラットフォーム標準仕様及び中間標準レイアウト仕様」を中心に、自治体業務システムのデータ連携の標準に係る現状の課題と今後の方針について検討することを目的としたもので、年内をめどに検討のとりまとめを行う予定となっています。
第3位は、「MaaS(Mobility as a service)」に関する政府の動向をご紹介した記事でした。
「MaaS」は、地方の公共交通を維持していく技術や仕組みとしても注目が集まっており、最近では「移動改革」といったキーワードとともに関連するニュースをよく目にするようになっています。
記事でもお伝えしたように、日本では都市部と地方部で移動に関するニーズや課題が異なるため、それに合わせた対応策を盛り込んだ「日本版MaaS」が国土交通省から示されており、国土交通省と経済産業省で2019年10月から2020年3月まで実証実験が実施されているところです。
さらに、国土交通省では、2019年9月より「MaaS関連データ検討会」を開催しています。
これは、MaaSの全国的な普及を前に、MaaS基盤の方向性を検討するため、連携するデータの範囲やルール、データ形式などについて整理するものです。MaaSに関するデータやAPIの形式、交通事業者などのMaaSに関連する事業者間におけるデータの取扱いや共有・連携について、可能な限り円滑かつ低コストで行えるよう、一定の方向性を示すことが必要だと考えられており、自治体や民間事業者へのヒアリングなどを中心に検討が進められています。
今後は、事務局にて作成中のガイドラインの素案を12月頃に検討会にて提示し、2020年2月頃にとりまとめを行う予定です。
第2位は、「世界水準のDMO(*)のあり方に関する検討会(以下、検討会)」が設置された背景とともに、見えてきた課題や論点を解説した記事でした。
検討会では、DMOからヒアリングを行った上で、2019年3月に以下の中間とりまとめを示しました。
(1)DMO全般の底上げに向けた改善の方向性
(2)世界水準のDMOに関する次年度の具体的検討の方向性
以上、第5位から2位までのランキングをお届けしました。「新たなIT政策」、「スマート自治体」、「MaaS」、「DMO」といったキーワードを含んだ記事がランクインとなりましたが、果たして一番人気のあった記事にはどんなキーワードが含まれているのでしょうか……
第1位は、さまざまなAI技術の中から、自治体に関連深いと思われるものや、今後注目のAI技術をピックアップしてご紹介した記事でした。中でも「AI-OCR」は、すでに多くの自治体の間でRPAと連携した実証実験が行われています。その理由は、業務効率化を目的にRPAを導入したいのに、各種帳票などが紙ベースとなっており、データ化されていないのでそのままでは使えないといった現状があるからです。
そこで紙の文書を識字率の高いAI-OCRを使ってデータ化し、そのデータを利用してRPA(入力作業やチェック作業などを自動化)を検証する事例が多く見られます。
なお、検証では、各種帳票をAI-OCRがどの程度読み取れるかなど、識字率の検証も併せて実施されています。
第4位でお伝えしたように、自治体はスマート自治体への変換が求められており、そのための方策として「AI・RPA等のICT活用普及促進」、「電子化・ペーパーレス化、データ形式の標準化」、データ項目・記載項目、様式・帳票の標準化」も盛り込まれていますので、今後さらに利用が加速していくと予想されます。
以上、「【年間ランキング:2019年】自治体人気NO.1記事は?」でした。
2020年も皆さまの情報収集のお役にたてるような記事をお届けしたいと思います。
(2019年12月16日 公開)
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