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デジタル臨時行政調査会とは

読んでナットク!自治体ICT

執筆:森重 福一(自治体ICTコンサルタント)

デジタル臨時行政調査会(以下、デジタル臨調)は、岸田首相が2021年10月に設置を表明し、準備室の発足を経て2022年1月から本格始動した会議体で、国や地方の制度、システムなどの構造改革を早急に進め、個人や事業者が新たな付加価値を創出しやすい社会をデジタルの力で実現することを目的としています。今回は、デジタル臨調の概要を紹介します。

デジタル臨調の概要

デジタル臨調設立の背景

デジタル臨調設立の背景には大きく分けて2つの課題があります。これらを踏まえ、スピード感をもって構造改革を行うことが求められています。

  1. 我が国全体のデジタル化の遅れ
    デジタル庁の創設でデジタル改革の推進体制は整備されましたが、既存の規制や行政などの構造は維持されたままであり、経済、社会、産業全体のデジタル化にはつながっていません。
  2. コロナが浮き彫りにした構造的課題
    国民がデジタルを活用したより良いサービスを享受し、成長を実感するためには、国を構成する「国民」、「社会」、「産業」、「自治体」、「政府」といった主体・分野にまたがる本質的な構造改革が必要です。 具体的な課題としては、多くの行政事務においてバラバラに保有しているデータの連携が難しいことや、デジタル人材が不足していることなどが挙げられます。

デジタル臨調の目的

デジタル臨調は、下記の3つを目的としています。

  1. 「国民や地域に寄り添う」とともに「個人や事業者がその能力を最大限発揮」できる社会をデジタルの力で実現。
  2. すべての改革(デジタル改革、規制改革、行政改革)に通底する「デジタル原則」を共通の指針として策定。
  3. デジタル原則の下、法律、行政組織、デジタル基盤等の経済社会制度を構成する重要な要素を早急に作り直す(=「新しい資本主義」を実現するための構造改革)。

デジタル臨調の関連会議体

デジタル臨調の関連会議体の1つとして、デジタル臨時行政調査会作業部会(以下、デジタル臨調作業部会)があります。デジタル臨調作業部会は、デジタル臨調の下、構造改革のためのデジタル原則への適合性の点検・見直しや新規法令のデジタル原則への適合性の確認プロセス・体制構築の検討などを行うための会です。2022年2月に開催された作業部会では、デジタル時代の安全性、生産性、進展性の妨げになっている規制(紙や人の介在を前提とする規制)を改革していくにあたり、暮らしの改善に大きく寄与すると思われる民間企業の技術や、先行的な規制の見直しを行った関係府省庁の取り組みについて知見を得られたと報告されています。
作業部会では、このような情報共有の機会を通じて、横断的な規制の見直しと応用可能なテクノロジーとの関係を包括的に把握・整理し、今後、各府省庁と規制の横断的な点検・見直しを議論する際の知見として活用するとしています。

デジタル臨調の活動

デジタル臨調では、主に以下の活動を行うとしています。

「デジタル原則」(共通の指針)の策定

今後のデジタル社会を構築する上で必要となるデジタル改革・規制改革・行政改革に通底すべき、デジタル社会の実現に向けた構造改革のため、以下の5つの原則が提示されています。

[イメージ]デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について(デジタル庁)
出典:デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について(デジタル庁)

既存の規制に関するデジタル原則への適合性点検作業

経済社会活動に関するすべての規律を対象としてデジタル原則への適合性の点検を行い、2022年春をめどに規制見直しプランを取りまとめ、公表するとしています。

[イメージ]デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について(デジタル庁)
出典:デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について(デジタル庁)

また、こうした規制改革を実施しつつ、新規法令のデジタル原則への適合性の確認プロセス・体制の検討や、自治体におけるデジタル原則に沿った取り組みの推進方策についても検討を進めるとしています。

法制事務のデジタル化

法制事務のデジタル化に向けて、規制・制度とシステムの仕様を自発的かつ一体的に見直し続けるため、新規法令のデジタル原則への適合性の確認プロセス・体制構築の検討を進めるとしています。

[イメージ]デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について(デジタル庁)
出典:デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について(デジタル庁)

デジタル臨調の活動はこれからも続いていきます。今後も動向に注目していきましょう。

執筆者プロフィール

[画像]森重 福一

森重 福一(自治体ICTコンサルタント)
株式会社 日立システムズに入社し、前半は中央官庁のSEとして大規模プロジェクトを経験、後半は自治体のパッケージ開発部門で電子自治体や地域情報プラットフォーム対応に携わる。日立システムズ退社後も、国や自治体関連のコンサルティング業務をメインに活動中。自治体クラウドやマイナンバー対応に携わり、個別案件の提案、講演会、勉強会、ユーザー会などを精力的に取り組み最新情報の共有、発信に努めています。

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