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執筆:森重 福一(自治体ICTコンサルタント)
「令和3年版 情報通信白書」では86.8%の世帯でスマートフォンを保有していることが公表されており、スマートフォンが生活の一部となっていることが分かります。今後、オンラインで完結できる行政サービスが増え、マイナンバーカード機能が搭載された端末が普及すると、利便性も向上し、スマートフォンが行政サービスの窓口として重要な役割を担うことになるでしょう。そこで今回は、行政サービスの窓口としてのスマートフォンについてまとめました。
「令和3年版 情報通信白書」によると、「情報通信機器の世帯保有率」では2016年にスマートフォンの保有率がパソコンの保有率を上回り、2020年には86.8%となっています。「インターネット利用端末の種類」では、スマートフォンの利用率が他の端末に比べ最も高いことから、スマートフォンの普及と、スマートフォンによるインターネット接続が進んでいることが分かります。
一方で、「普段利用しているインターネットサービス」では、インターネットを使用した公的サービス(行政サービスなど)の利用率が19.7%と低くなっており、スマートフォンが多くの世帯で活用されている状況下でも、オンラインでの公的サービスの利用は進んでいないことが分かります。
デジタル庁が進める自治体DX施策の1つに「行政手続のオンライン化」があります。2022年度末をめどに、特に国民の利便性向上に資する手続きについては、マイナポータルからマイナンバーカードを用いたオンライン手続きが可能になる予定です。また、現在はマイナンバーカードをスマートフォンで読み取ることでオンラインでの行政手続きが可能となっていますが、2022年度中にはマイナンバーカード機能のAndroidスマートフォンへの搭載をめざしており、これが実現すればスマートフォンだけでオンラインでの行政手続きが完結できるようになります。
なお、内閣府によると、スマートフォンから60秒であらゆる行政手続きができるようにするなど、今後もスマートフォンのデジタル社会での利用シーン拡大を実現していくとしています。
現在実施されている、スマートフォンを使用した行政サービスの一例をご紹介します。
インターネットを使用した行政手続きにおけるスマートフォンの利用拡大に向けては、スマートフォンで行う手続きのサポートや講習会など、デジタル活用支援推進事業の積極的な活用が重要となるでしょう。具体的な事業と活用状況は以下のとおりです。
マイナンバーカードの普及がさらに進み、オンラインで完結できる行政サービスが増えていくにつれて、スマートフォンは行政サービスの窓口として重要なツールになり得ると考えます。今後も引き続き、デジタル活用支援推進事業を積極的に活用し、スマートフォンを使用した公的サービスの利用率を向上させられるよう、取り組まれることをお勧めします。
森重 福一(自治体ICTコンサルタント)
株式会社 日立システムズに入社し、前半は中央官庁のSEとして大規模プロジェクトを経験、後半は自治体のパッケージ開発部門で電子自治体や地域情報プラットフォーム対応に携わる。日立システムズ退社後も、国や自治体関連のコンサルティング業務をメインに活動中。自治体クラウドやマイナンバー対応に携わり、個別案件の提案、講演会、勉強会、ユーザー会などを精力的に取り組み最新情報の共有、発信に努めています。
(2022年4月18日 公開)
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